【競馬】ハイレベルな安田記念。話題性乏しい香港馬が逆に不気味 (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 昨年は、重賞未勝利ながら、デビューからの5連勝を含む8戦8連対という実績を引っ提げて参戦。その未知の魅力に加え、日本でもお馴染みのホワイト騎手が騎乗して、3番人気という高い支持を集めたが、14着に敗れた。道中の追走に手間取り、勝ったストロングリターンから7馬身差も離されての完敗だった。今回は、その雪辱戦となる。

「昨年は、まず香港からの輸送で体が減ってしまった。そのうえ、初コースで外枠(14番)からの発走、経験のない高速決着と、悪い要素がすべて重なってしまったのが原因」

 昨年の敗因をそう分析するのは、サイズ調教師。決して力負けではないことを強調する。

 確かに帰国後は、ローカルレースのGIを含めて重賞2勝。2着となった昨年の香港マイルでは、今回出走するグランプリボス、サダムパテックに大きく先着している。条件さえ向けば、互角以上に渡り合えると見ていいだろうが、一方で「ピークを過ぎた」という声もある。

 というのも、2走前のローカルGIクイーンズシルヴァージュビリーカップ(シャティン・芝1400m)で3着と敗戦。地元香港で継続していた、デビューからの連続連対もストップさせてしまった。さらに、前走の国際GIチャンピオンズマイル(シャティン・芝1600m)でも、1番人気に推されながら4着。やや精彩を欠いた結果が続いている点が不安視されている。

 その辺りを改めてサイズ調教師に聞くと、彼はまったく意に介していなかった。
「安田記念を最大目標にして、訪日から逆算して調整していたため、ここ数戦は若干仕上げが甘かったかもしれない。ただ、結果には満足していないが、パフォーマンスには満足している。今回は輸送で体も減っていないし、当日は一番いい状態で出せるはずだ」

 事実、サイズ調教師は馬の状態を最優先する。レースに向かう態勢が整わなければ、5歳までデビューを遅らせることもあるほどだ。自信を持って来日していること自体、調子落ちがない何よりの証だろう。

「できれば良馬場で、内目の枠が希望」というサイズ調教師の願いどおり、枠順は3枠6番の絶好枠を引いた。馬場に関しては、日本特有の異常な高速決着になるよりは、むしろ時計がかかったほうがプラス。グロリアスデイズにとっては、今週の雨が恵みの雨になるか。

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