【競馬】二冠達成なるか!? ロゴタイプに託された「血の運命」 (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Nikkan sports

 ローエングリンの母カーリングはフランスで3歳時にGIを2勝したあとに、吉田氏が購入。日本に繁殖牝馬として輸入する前に、ジャパンカップの勝ち馬で、世界的な種牡馬サドラーズウェルズの血を引くシングスピールと受胎させた。そして生まれた子が、のちのローエングリンとなる。

 一方、ステレオタイプの母スターバレリーナは、その母ベリアーニを吉田氏が購入。輸入前に、アメリカの伝説的名馬セクレタリアトの産駒リズンスタートと交配して生まれた。1993年のエリザベス女王杯では、1番人気(9着)に支持されるほどの活躍を見せたが、ローエングリン同様に、現役生活中にGIを勝つことはなかった。このスターバレリーナとサンデーサイレンスとの間に産まれるのが、ステレオタイプだ。

 世界的な名血を持ちながら、ビッグタイトルをつかむことができなかったふたつの血。そのふたつをあえて結びつけ、ロゴタイプがこの世に送り出された。

「お父さんにも、お母さんにも携(たずさ)わってきたので、『両方のいいところがうまく出ているな』と思ったのが、最初の印象です。特に、背中の柔らかさがローエングリンに似ていると思いました」

 そう語るのは、昨秋以来、ロゴタイプのレース毎の放牧先となっている社台ファーム山元トレーニングセンター(宮城県)の袴田二三男マネージャーである。昨年11月、ベゴニア賞(東京・芝1600m)出走に向けて北海道から到着したロゴタイプを見た際、自身も手がけていたローエングリンの姿と重ねた。

「それでも、毎年何頭かいる『いい素質を持っている』というようなもので、図抜けてすごいというほどではありませんでしたし、直後のベゴニア賞をレコードで勝つほどとは思いもしませんでした」

 ロゴタイプは昨年6月、函館でデビュー戦を快勝し、その後は月1走ペースで、函館、札幌のレースに出走。重賞に出走しても大きく崩れることはなかったが、もうワンパンチ足りない競馬が続き、陣営は9月頭の札幌2歳S(4着/札幌・芝1800m)のあと、休養に入ることを選択した。

「(ロゴタイプは)北海道の4戦で体を減らした、という印象が強かったので、(休養後、山元トレセンに)到着したとき、それを微塵も感じさせないほどの馬体の張りには驚きました。のちに、年末のGI朝日杯FSを勝ったあと、こちらに放牧に戻って来た当日こそ、体を大きく減らしましたが、これも翌日にはすぐに回復しました。今にして思えば、この体質の強さが、この馬のいちばんの強みかもしれません。また、田中剛調教師、そして厩舎の皆さんが、良い状態で出走させてくれている点が大きいです」

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