【競馬】開場したばかりの牧場に「光」をもたらした3頭の牝馬 (2ページ目)

  • 河合力●文 text&photo by Kawai Chikara

「生産馬の馬体の良さや、配合面の工夫をバイヤーの方にアピールしても、実績のない牧場ではなかなか信頼してもらえません。ですが、母馬の繁殖実績は別。仔馬の将来を考えるうえで、兄や姉に活躍馬がいるかどうかは、もっとも確実でわかりやすい要素ですからね。牧場のブランドがない分、私は繁殖牝馬の持つブランドで勝負しようと考えたのです」

 開場前の2000年、スウィーニィ氏は実績のある繁殖牝馬を探し回っていた。もちろん、誰もが欲しがる有名な母馬は高価で手が出せない。だからこそ彼は、日本に限らず、世界中のセリ市や牧場を訪れ、安くて実績のある繁殖牝馬を探したという。そして見つけたのが、先に挙げた3頭だ。

 その牝馬たちを紹介したい。

 アメリカ産馬のカサダガは、1990年代の後半に根岸Sなどダートの重賞を3勝した外国産馬ストーンステッパーの母親である。2000年にアメリカを訪れたスウィーニィ氏が、繁殖牝馬のセリ市に上場されていたカサダガを購入。日本へと連れて来た。

 スィートシエロもアメリカ産馬だが、繁殖生活は日本で送っていた。その繋養先でスウィーニィ氏が購入した。主な産駒には、1999年の朝日CC(GIII)と京都大賞典(GⅡ)を勝利し、同年の有馬記念で4着と好走したツルマルツヨシがいる。

 そして、「パカパカの初期を支えた1頭」とスウィーニィ氏が語るのが、プリンセスリーマ(アメリカ産)。圧倒的な強さを誇ったテイエムオペラオーと数々の死闘を演じ、2001年の宝塚記念を制したメイショウドトウの母親である。

「プリンセスリーマを買ったのは、メイショウドトウが宝塚記念を勝つ1年前でした。『メイショウドトウはきっとGI馬になる』と思いましたし、プリンセスリーマは日本に合う繁殖牝馬だと感じていたので、急いで彼女が繁殖生活をしている北アイルランドの牧場に飛んで行きました。メイショウドトウがGIを勝ったあとでは価値が上がってしまいますから、一刻も早く交渉する必要があったのです」

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