【競馬】息子ロゴタイプは皐月賞本命。未冠のローエングリンが種牡馬で成功したワケ (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Nikkan sports

 ローエングリンは、2001年にデビューし、8歳まで走り続けて48戦10勝(うち重賞4勝)。軽快な先行スタイルを武器に、1600m前後の距離のレースで息の長い活躍を見せた。しかし、ことGIとなると、ひと押しが足りなかった。フランスのムーラン・ド・ロンシャン賞2着、安田記念や宝塚記念、香港マイルで3着と、あと一歩タイトルに及ばず、競走生活を終えた。

 そんなGI未勝利のローエングリンが、なぜ種牡馬になったのか。その理由は、自身が世界的良血であることに他ならない。

 ローエングリンの父シングスピールは、1996年のジャパンカップをはじめ、さまざまな国でGI(4勝)を制した。そして何より、母カーリングが、1995年のフランスオークスなどGIを2勝した名牝。その走りを見染めた社台ファーム代表の吉田照哉氏が、現役途中にもかかわらず、購入したほどの馬だった。

 加えて、ローエングリンの弟であるレゴラス(父サンデーサイレンス)も、条件馬止まりの身でありながら、その良血を評価されてフランスで種牡馬入りしている。つまり、世界でも認められるほどの血を引くことで、ローエングリンはGI実績がなくても種牡馬になれたのだ。

 こうして2008年、社台スタリオンステーションで種牡馬生活をスタートさせたローエングリンだが、必ずしも大きな期待をかけられていたわけではなかった。初年度の種付け料は30万円。100万円を超える種牡馬がほとんどの社台スタリオンステーションでは、破格の安値といっても良かった。

 また、種牡馬3年目となる2010年には、社台スタリオンステーションを離れて、別の種牡馬の繋養施設(レックススタッド)に移動。種牡馬1年目の産駒からは目立った活躍馬が出ず、初年度は95頭に及んだ種付け頭数も、2012年には30頭に減少。種付け料も20万円に下がっていった。

 しかし、前述した今年3歳となる2年目産駒(2010年生まれ)のブレイクで状況は一変した。ローエングリンは瞬(またた)く間に注目の的となり、今年の種付け料は50万円(産駒誕生後は80万円)へとアップ。3月中旬には今春の種付け予約が150件を優に超えて、早くも満口となった。

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