【競馬】「パカパカファーム」という牧場名はこうして生まれた

  • 河合力●文 text&photo by Kawai Chikara

 ちなみに、スウィーニィ氏は牧場名の候補として『パカパカファーム』以外にも、『ボコボコ牧場』という案を温めていたらしい。しかし「さすがにこれは、マイナスイメージが強くてやめました(笑)」と冗談交じりに話す。

 牧場名に代表されるように、スウィーニィ氏は牧場のブランディングを非常に重視している。その戦略は随所に見られ、例えば「パカパカファーム」とカタカナで大きく書かれた馬運車や、赤・白・黒を基調としたカラーリングで統一された施設などは、他とは違う牧場の印象を強めている。昨年作られたパカパカファームのFacebookも、競馬関係者に限らず、「少しでも多くの人にこの牧場を知ってもらいたい」という思いから生まれた。

「世界の中でも、特に日本の牧場ではブランディングが重要なのです」と語るスウィーニィ氏。彼がそう考える理由には、来日以来感じていた、日本と海外における競走馬取引の大きな違いが関わっている。そしてその違いが、「日本の小さな牧場を、厳しい立場に追いやる原因にもなっている」と指摘する。

 次回は、スウィーニィ氏がブランディングにこだわる背景とも言える、日本の競走馬取引の現状と問題点を取り上げる。

(つづく)

  ハリー・スウィーニィ
1961年、アイルランド生まれ。獣医師としてヨーロッパの牧場や厩舎で働くと、1990年に来日。『大樹ファーム』の場長、『待兼牧場』の総支配人を歴任。その後、2001年に『パカパカファーム』を設立。2012年には生産馬のディープブリランテが日本ダービーを制した。
『パカパカファーム』facebook>

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