【競馬】混戦の桜花賞で浮上するのは、
前哨戦とは違うレッドオーヴァル

 最近(2009年)も、似たようなケースがありました。ハナ差でエルフィンSを勝って桜花賞に直行し、ブエナビスタと接戦を演じたレッドディザイア(2着)です。もしエルフィンSで負けていたら、トライアル戦を使うことになっていたでしょう。そうすると、ローテーションが厳しくなるだけでなく、成長を妨げてしまうこともあり、その後の活躍はなかったかもしれません(主な成績:桜花賞=2着、オークス=2着、秋華賞=1着、マクトゥームチャレンジラウンド3/UAE=1着)。レッドディザイアにとっては、それぐらい明暗を分けるハナ差だったと思います。

 トーセンソレイユには、レッドディザイアと同様の活躍が見込めると思います。鞍上は、今回初めて短期免許を取得したシュタルケ騎手。牝馬で凱旋門賞を勝っている(2011年、デインドリーム)ジョッキーですから、ますます楽しみが膨らみますね。

 強力なライバルになるのは、トライアル戦を制したクロフネサプライズ、メイショウマンボ、そしてクラウンロゼの3頭でしょう。

 クロフネサプライズは、桜花賞と同じ舞台で行なわれたチューリップ賞(3月2日/阪神・芝1600m)の勝ち馬。1分34秒9という勝ち時計はかなり優秀です。それも、自ら逃げてマークしたことに価値があります。今回は展開と馬場がカギになりそうですね。

 メイショウマンボは、フィリーズレビュー(3月10日/阪神・芝1400m)を快勝しました。特筆すべきは、このレースと前々走のこぶし賞(2月16日/京都・芝1600m)の勝ち方。ともに差し馬の展開ではなかったにもかかわらず、後方から一気に突き抜けてきたのです。相当な能力と瞬発力のある証拠でしょう。

 アネモネS(3月9日/中山・芝1600m)を勝ち上がったクラウンロゼは、これまで同レースの出走馬が桜花賞でほとんど活躍していないという理由で、意外と評価が低くなっています。しかし、実績はデビューから無傷の3連勝と申し分ありません。そのうえ、前走はそれまでの2戦とは違って、控える競馬を試して即結果を出しました。それは、能力がなければできない芸当です。

 こうした強敵を相手にする、今回の「ヒモ穴馬」には、前走チューリップ賞の敗戦で評価が下がっている、レッドオーヴァルを取り上げたいと思います。

 チューリップ賞では1番人気に推されながら、結果は7着でした。体が減っていたことも(-10kg)影響したと思いますが、この馬は、その前の紅梅S(1月14日/京都・芝1400m)の勝利で賞金を加算していたため、チューリップ賞は本番への叩き台として使える立場でした。レースでは2歳女王のローブティサージュをマークして進み、直線ではそのローブティサージュと脚比べをしているような感じで、あくまでも前哨戦らしい競馬をしているように見えました。それからすると、本番の今回は、仕上げ過程も、レースに臨む姿勢も、明らかに違うと思います。

 鞍上は、前走手綱を取っていたC・デムーロ騎手から、兄のM・デムーロ騎手に替わります。M・デムーロ騎手は昨年、牡馬のクラシック候補と言われたグランデッツアに乗るために、前哨戦のスプリングSから短期免許を取得しました。今年は皐月賞に出走予定のロゴタイプへの騎乗がメインならば、来週からの短期免許でもよかったのに、それを一週前倒ししてきました。ということは、この馬にもかなりの色気を感じているのはないでしょうか。ノーマークは禁物です。

1着付けなら最低でも10万馬券!?
大西直宏も驚いた桜花賞の衝撃穴馬を無料公開!

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る