【競馬】福永騎手が語る桜花賞「最も魅力を感じるのは、ディープの妹」 (2ページ目)

  • 新山藍朗●取材・文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

――福永騎手は「牝馬の福永」と称されて、例年この時期には必ず有力馬の手綱をとっていました。今年はそういう存在が見当たりませんが、ご自身が期待していた馬にも、何か誤算があったのでしょうか。

「デビュー前から評判の高かった、オツウとダイワレーヌ、そしてラストグルーヴには期待していたのですが......。それぞれ事情があって、桜花賞には出走できませんでした」

――それぞれの事情について、詳しく教えていただけますか。

「オツウ(4戦1勝)は、デビュー戦(11月3日/京都・芝1600m)を勝ったときにはかなりの手応えを感じたのですが、2戦目に予定していた阪神JFでは抽選漏れしてしまいました。その後のレースでは、不利を受けたり、苦手の重馬場で負けたりして、なかなか2勝目が挙げられず、桜花賞は断念しました。それでも、目標をオークスに切り替えたので、これからが楽しみですね」

――ダイワレーヌ(母ダイワスカーレット)とラストグルーヴ(母エアグルーヴ)は、どちらも名牝を母に持つ超良血馬。多くのファンや関係者が期待していた馬だと思うのですが、何か問題があったのでしょうか。

「ダイワレーヌは調教の動きがすごくよくて、『さすが』と思わせる走りを見せていました。でも、いざレースに行くと、他の馬を気にしたり、走ることに集中できなかったりして、秘めた力を発揮できませんでした(4月5日時点で4戦未勝利)。調教段階ではかなり期待が持てる馬なので、今後に期待しています。

 ラストグルーヴについては、この血統の馬が皆そうだったように、体質の弱さがありました。実は昨年、一度は暮れのデビューを目指して調教を始めていたんです。でも、強い負荷をかけると、体が耐え切れなくて......。それで、負荷をかけては緩めて、という調整をずっと繰り返していたんです。結局、なかなか(レースに出走できるまで)仕上がらなくて、デビューは年明けの3月まで延びてしまいました」

――それでも、ラストグルーヴはデビュー戦(3月16日/阪神・芝1800m)を快勝。強い競馬でした。

「ようやく(春のシーズンに)間に合った、という感じですね。調教の動きからして『初戦向きではない』という印象がありましたが、レースになれば、あれだけの走りをするのですからね。持っている能力は、かなりのモノだと思いますよ。ただ、現時点での完成度はそれほど高くないですし、動き自体も持っている能力からすると物足りない、というのが正直なところです。もちろん、乗り味や身のこなしからして、先々は間違いなく走ってくる馬です」

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