【競馬】「東西の横綱」そろう弥生賞。サトノネプチューンが金星狙う
デビュー戦(10月21日/京都・芝1800m)では、スタートしてから折り合いに専念。道中は馬込みの中で様子を見ながらの競馬でした。そして、圧巻だったのは最後の直線です。ゴールまで残り2ハロン(約400m)付近で外に持ち出すと、そこから一気に突き抜けたのです。脚を使ったのは正味1ハロンくらいで、その瞬発力は驚異的でした。
初戦に比べて、2戦目の京都2歳S(11月24日/京都・芝2000m)は、折り合いをつけるのに苦労して、評価できない競馬でした。1枠1番の発走で、内枠の馬に有利なコース設定に恵まれた印象があり、このときは「この先、レースを使うごとにテンションが上がっていったら、折り合いが課題になるかも......」と思いましたね。
ところが3戦目、前走のラジオNIKKEI杯2歳S(12月22日/阪神・芝2000m)では、その課題を見事にクリアして見せてくれました。前半の1000m通過タイムが66秒0という超スローペースの中、3番手の外側で折り合って、仕掛けた瞬間に反応し後続を引き離したのです。
今回は、初の長距離輸送に、初コース、さらに主戦の福永祐一騎手が騎乗停止でビュイック騎手に乗り替わるなど、新たな課題を抱えていますが、多少の不利はものともしない器だと思います。
まさに横綱級の力を持つ、コディーノとエピファネイア。順当なレースなら、この2頭の一騎撃ちになるでしょう。どちらの切れ味が勝るのか、本当に楽しみです。
この強力な2頭に割って入れるかどうかはわかりませんが、今回の「ヒモ穴馬」には、サトノネプチューン(牡3歳)を挙げたいと思います。
サトノネプチューンは、弥生賞と同じ条件のホープフルS(12月23日/中山・芝2000m)を勝っています。まだキャリアの浅い3歳馬のレースでは、やはりコース実績があるのは大きな利点です。それが、同じ距離ならばなおさらです。
同レースでは、その後の共同通信杯(2月10日/東京・芝1800m)で3着と好走したマイネルストラーノ(牡3歳)が2着、今回も上位人気が予想されるカミノタサハラ(牡3歳)が3着でした。その好メンバーを相手に競り勝ったのは、価値があります。
鞍上のムーア騎手の好騎乗もありますが、2戦目のキャリアで、内々の苦しいところで揉(も)まれながら我慢できたことは評価できます。当時は、まだ前への推進力が足りないイメージがありましたが、あれから2カ月あまりの間にどれだけ成長できたのか、その辺の上積みにも期待が持てます。この一戦で、関脇か、小結くらいの評価が、一気に大関クラスになっても不思議はありません。
鞍上は、今回からJRA所属騎手として騎乗する戸崎圭太騎手。つい先日まで所属していた地方競馬の南関東ナンバー1ジョッキーで、追える騎手としても知られています。かつて、サトノネプチューンと同じ堀宣行厩舎の管理馬リアルインパクトでGI安田記念(2011年)を制していますし、その騎乗ぶりにも注目したいですね。
プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。
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