【競馬】フェブラリーS、
初ダートのカレンブラックヒルが期待されるワケ

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu

初めてのダート戦に挑むカレンブラックヒル。初めてのダート戦に挑むカレンブラックヒル。 2012年、それまで頂点に君臨していた古豪が引退するなど、世代交代の波が一気に押し寄せてきたダート戦線。JCダートを制したニホンピロアワーズ(牡6歳)をはじめ、ローマンレジェンド(牡5歳)、ハタノヴァンクール(牡4歳)といったネクストジェネレーションが相次いで台頭した。しかし、2月17日に行なわれるGIフェブラリーS(東京・ダート1600m)にそれらの姿はなく、「大混戦」の様相を呈している。そんな中、いろいろな意味で注目を集めているのが、カレンブラックヒル(牡4歳)だ。

 カレンブラックヒルは、昨年4戦無敗でGIのNHKマイルカップ(東京・芝1600m)を圧勝。秋初戦の毎日王冠(東京・芝1800m)では、5頭のGI馬を含むハイレベルなメンバーを相手に横綱相撲を見せて快勝した。続く、GI天皇賞・秋(東京・芝2000m)では5着に敗れるも、ハイペースと先行馬にはきつい流れの中で、2番手で追走して最後まで食い下がり、「負けてなお強し」と高い評価を得た。ダイワメジャーの初年度産駒にして、早くも「最高傑作」との呼び声が高い。

 そんなカレンブラックヒルが、今年の初戦として選んだのが、ダートのGIフェブラリーS。芝のGIで結果を出している一線級の馬の、その意外な挑戦が注目されないはずはない。

 だが、カレンブラックヒルにとって、レースのハードルはかなり高い。昨年の覇者テスタマッタ(牡7歳)のほか、ワンダーアキュート(牡7歳)、エスポワールシチー(牡8歳)といった古豪、あるいはイジゲン(牡4歳)、ガンジス(牡4歳)などの新興勢力がライバルとして立ち塞がるのは確かだが、それ以上に「初ダートがGI」というのが最大の壁となる。これまでも、芝の実績馬がダートに新たな可能性を求めるケースはあったが、転向初戦がGIというのは稀(まれ)。2001年のフェブラリーSに出走したトゥザヴィクトリーの3着が最高で、いきなり中央のダートGIを勝ったケースはこれまでに一例もないのだ。

 にもかかわらず、カレンブラックヒルが有力馬として期待され、どの馬よりも脚光を浴びている。理由は、4つある。

 ひとつは、主戦の秋山真一郎騎手が、昨年の天皇賞・秋の前後から発していた「もしかしたら、ダートではもっとすごいパフォーマンスを発揮できるかもしれない」という言葉だ。これまでに勝利を飾ったニュージーランドトロフィー(中山・芝1600m)、NHKマイル、毎日王冠と、そのレースぶりはいずれも高い評価を受けている。さらにそのパフォーマンスを上回るというのならば、いきなり「GIで通じる」という解釈もできるわけだ。

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