【競馬】ディープの妹が『飛んだ』。トーセンソレイユの力は本物か

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

 もちろん、今後に向けての懸念材料はある。兄ディープの父は不世出の名種牡馬サンデーサイレンスだが、トーセンソレイユの父はネオユニヴァース。同産駒からは牝馬のGI馬が出ていないのが、危惧されている。2戦2勝とはいえ、一戦級との対戦がないのも気がかりだ。

 そして最大の問題は、やはり馬体。この先、どれだけの成長が見込めるかが、大舞台で勝てるかどうかのカギとなる。専門紙記者が語る。

「実は昨年、トーセンソレイユは2歳時にデビューする話があったんです。でも、馬体が仕上がらなくて、結局3歳になった今年の1月まで(デビューが)ずれ込んだ。それくらい、体質が弱い。デビュー戦を使って体重が減ったのを見ると、体質の弱さは本質的に解消されていないのでしょう。それが、さらに相手が強くなって、もっと厳しい勝負を強いられたときにどう出るか。能力は確かだし、前走で精神的な強さも証明しました。流行り言葉で言えば『持っている』雰囲気も感じますが、クラシックで勝ち負けするには、馬体面での成長が不可欠。一にも二にも、そこにかかっていると思います」

 エルフィンS後、トーセンソレイユはすぐに放牧に出された。トライアルレースは使わずに、本番の桜花賞(4月7日/阪神・芝1600m)に直行する予定だと伝えられている。

 桜花賞まで、およそ2ヵ月。馬が成長するには短いと思えるが、この時期の3歳馬は、これくらいの期間でグンッと成長することもよくある。まして「ディープの妹」なら、そんな奇跡を起こしても不思議はない。

 桜の季節にはまだ早い寒さが続いているが、ディープの妹トーセンソレイユが登場した“競馬の桜戦線”は、がぜん華やいできた。

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