【競馬】大混戦の阪神JF。牝馬クラシック戦線の「本命」は現れるのか (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan Sports

 さらに、実績上位馬にとって脅威の存在と見られていたオツウ(父ハーツクライ)も、残念ながら抽選漏れで出走できなかった。

 1勝馬ながら、競馬サークル内の評価が極めて高かったオツウは、新馬戦で強烈な勝ち方(2着に2馬身半差)をしたあと、当初登録していた自己条件の白菊賞をパスし、狭き門の抽選を覚悟して阪神JFに狙いを絞ってきた。過去に1戦1勝馬で同レースを勝ったのは、昨年のジョワドヴィーヴルだけ。それを承知のうえでの挑戦は、陣営がこの馬の素質を高く評価していた証拠だろう。

 先の関西専門誌記者が言う。
「今回、(新馬戦でオツウに騎乗した)福永祐一騎手はプリンセスジャックに乗りますが、それは2勝馬で出走が確定しているから。できれば『オツウに乗りたかった』というのが本音だと思います。オツウが持っている力は『GIレベル』と評価していますからね」

 主役候補の一頭として、今後の動向からも目が離せない。

 同様に、来年のクラシック戦線を見据えるなら、阪神JF後にデビューを控えた優秀な血統馬にも目が向く。ダイワスカーレットの初子ダイワレーヌ(父チチカステナンゴ)や、エイシンフラッシュの半妹アルテミスハート(父ハーツクライ)らがそう。この2頭は年末にデビュー予定で、そこで彼女たちが強い勝ち方を見せるようなら、クラシックの「本命」として、現有勢力以上の評価を受けても不思議はない。それだけの、血統的な背景や素質を持っている。

 ともあれ、まず注目すべきは2歳牝馬たちによる頂上決戦。混戦を制して、「女王」と称されるような馬が現れるのか、しっかりと見届けたい。

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