【競馬】マイルCSは、展開向くサンカルロの末脚が爆発する!?

 また、京都外回りコースというのは、3コーナーから4コーナーにかけて下り坂のコース。早めに仕掛けるということは、その下り坂で加速していくことになり、必然的に4コーナーは膨らんで回る馬が多くなります。こういう展開なら、差し馬が馬群をさばきやすく、競馬もしやすくなります。春の安田記念を差して勝ったストロングリターンや、決め手勝負のレオアクティブなどは非常に理想的な形を築けると思います。

 一方で、タフな競馬になることも予想されるため、牡馬相手に関屋記念を快勝したドナウブルー(牝4歳)のような、前に行ってしぶとく良い脚を使えるタイプにも向きそうです。鞍上は名手スミヨン騎手。このジョッキーの仕掛けひとつで、レースが大きく動きそうな予感がします。そういう意味では、勝敗のカギを握るのはこのジョッキーかもしれません。

 さて、このレースの「ヒモ穴馬」ですが、そんなレース展開を踏まえ、なおかつ応援の意味を込めて、サンカルロ(牡6歳)にしたいと思います。正直、厳しい競馬を強いられると思いますが、今回のマイルCSでGI挑戦11戦目。なんとかGIタイトルを獲らせてあげたい馬だけに、ぜひともがんばってほしいと思っています。

 サンカルロのベスト距離は、3勝と最も多く勝っている1400m。もし1400mのGIがあれば、おそらく1回は栄冠を獲得できていたのはないでしょうか。過去に、1200mのGI高松宮記念で2着2回と「あわや」という競馬はしていますが、いかにも"大型牡馬"という彼は、力をタメてタメてシュッとキレる馬ではないだけに、忙しい流れになる1200m戦は決してベストとは言えません。

 かといって、マイル戦のほうがいいのかというと、そうとも言い切れません。マイルGIの舞台では、過去に何度も大敗していますからね。

 そのうえ、サンカルロは非常に気性の難しい馬で、いつも後方で折り合いに専念しています。スローで流れようがハイペースだろうが、臨機応変に動くのではなく、常に自分のポジションで競馬をします。ゆえに、展開が向くか否かで着順が大きく変わってしまう馬なんです。

 その展開が今回、サンカルロにはまる可能性が大いにあると思っています。

 鞍上の吉田豊騎手は、4年前(2008年)にブルーメンブラットでマイルCSを勝っています。勝っているレースというのは、良いイメージが作りやすく、ジョッキーの心理としては乗りやすいものです。ましてや、ブルーメンブラットとサンカルロの脚質が似ています。ブルーメンブラットで勝利したイメージで今回も運ぶことができれば、あっと驚く大駆けも......そんな期待が膨らんでいます。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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