【競馬】スプリンターズS、女王・カレンチャンに立ちはだかる「壁」 (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Nikkan sports

 昨年の2着馬パドトロワ(牡5歳)も侮れない。今年はサマースプリントチャンピオン(夏開催の短距離重賞をポイント化したシリーズで優勝)のタイトルを手にして、昨年の雪辱を狙う。このシリーズの優勝馬は、本番での勝利こそないものの、2着3着の率は高い。鞍上の安藤勝己騎手はビリーヴのスプリントGI3連覇に王手をかけながら、カレンチャンの主戦である池添謙一騎手が手綱をとったデュランダルに、ゴール寸前で快挙達成を阻まれた。今回は逆の立場という奇縁にも注目だ。

 雪辱という意味合いでは、古豪サンカルロ(牡6歳)も怖い1頭。高松宮記念では2年続けて2着、このスプリンターズSも一昨年3着と金メダルまであと一歩というところまで来ている。「セントウルSの惨敗は調整方法を変えた影響。今はビシビシと追って状態も上向き。雨で馬場が渋るのも大歓迎」(競馬専門誌記者)と強気の姿勢だ。

 また、過去10年で3勝を挙げている海外勢が今年も来日。スプリント王国・香港からは、昨年の香港スプリント(香港GI・芝1200)を勝ったラッキーナイン(騸5歳)と、今年英国に遠征してキングズスタンドS(英国GI・芝1000m)を勝ったリトルブリッジ(騸6歳)の"両横綱"がやってくる。

「この馬の来日は3回目。そろそろ勝たないと、もう言い訳が残ってない(笑)」とラッキーナインのファウンズ調教師がうそぶけば、「早目に来日してじっくりと調整し、金曜日の昼に自分の足で馬場を歩いて、これならいけると確信できた」とリトルブリッジのシャム調教師は自信の表情を見せる。どちらも希望していた枠を得たことも追い風になりそうだ(ラッキーナイン3枠5番、リトルブリッジ4枠7番)。

 国内外の現役屈指のスプリンターがズラリと顔をそろえたスプリンターズS。はたして、カレンチャンは屈強なライバルたちを相手にして、前人未到のスプリントGI3連覇を達成できるのか。秋のGIシリーズ開幕戦から目が離せない。

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