【競馬】注目の札幌2歳S、来年のクラシック馬がここから生まれる!? (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

 その主役とされるのが、前出のロジユニヴァースの全弟(ネオユニヴァース産駒の)トーセンパワフルと、皐月賞2着、ダービー3着などの実績があるドリームパスポートの半弟で、ディープインパクト産駒のラウンドワールドだ。キングカメハメハ産駒で、母が重賞勝ち馬ハッピーパスという良血コディーノも「第3の馬」として注目を集めるが、最大の見どころは前記"2強"の行方だろう。

 トーセンパワフルとラウンドワールドは、実は過去に一度対戦している。例年よりも1週開催が早まった今年の新馬戦。その皮切りとなるレース(阪神芝1600m)で早くも激突したのだ。結果はトーセンパワフルが勝利し、ラウンドワールドは3馬身近く離されての3着だった。

 このときと現在の両馬の力関係について、関西の競馬専門紙記者が次のように語る。
「新馬戦の着差は、その段階での仕上がりの差。この2頭に、本質的な能力差はほとんどないと言っていいでしょう。実際にラウンドワールドは、新馬戦で2馬身差をつけられた2着のマイネヴァイザーに、次の未勝利戦では逆に3馬身の差をつけて勝っていますからね。それに、前走のコスモス賞(8月11日/札幌芝1800m)も強い競馬で勝利。トーセンパワフルが新馬戦以来の休み明けであることを考えれば、勢いと順調さで、今度はラウンドワールドのほうが上かもしれません」

 それにしても、昔から2歳戦と言えば、「早い段階から活躍するのは早熟タイプで奥がない。大物は涼しくなった秋以降にデビューする」と言われたもの。ところがこの2頭は、当初から「クラシック級」と言われた評判馬ながら、新馬戦が解禁になったその日にデビュー。それぞれ勝利を飾ると、両陣営の愛馬への評価は一層高まった。一方が「GI馬の背中をしている」と言えば、もう一方は「凱旋門賞を意識する」とまで言う。そこに身内ゆえのひいき目があるにせよ、かつての常識に照らせば、キャリアの浅い2歳馬がこの段階でこれほど評価されるのは、ある意味で常識外れだ。

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