2012.05.26

【競馬】ダービーで一発逆転を狙う、5頭の「刺客」

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • 村田利之●写真 photo by Murata Toshiyuki

 次に「2強」の一角、ゴールドシップと同じステイゴールド産駒のフェノーメノ。

 ゴールドシップがここまで6戦オール連対の優等生タイプなのに対して、一方のフェノーメノはかなりの個性派、というか”曲者”。右回りの中山では2戦して掲示板にすら乗らないのに、東京では走りが一変して3戦3勝。前走のダービートライアル・青葉賞も2着に2馬身半差の完勝だった。

 青葉賞馬には、過去にダービーを勝った馬が1頭もいないという嫌なデータはあるものの、抜群のコース適性に注目すれば、この馬も侮れない。

 他では、ダービー「7頭出し」のディープインパクト産駒。なかでも、ディープブリランテ、トーセンホマレボシ、ヒストリカルの3頭からも目が離せない。

 このうち、トーセンホマレボシは、昨年の天皇賞(秋)を勝ったトーセンジョーダンの半弟で、ヒストリカルも8歳になって天皇賞(秋)とマイルCSのGIを連勝したカンパニーの半弟。どちらも、上にGI馬がいて、血統背景のレベルは高い。

 ただ、トーセンホマレボシの場合は、京都新聞杯がいかに強い競馬だったとはいえ、これまでに皐月賞上位組など、一線級との対戦がほとんどない。京都新聞杯を勝ってダービーも勝ったというのは、過去に2000年のアグネスフライトのわずか一例があるのみ。勢いと鞍上のウィリアムズ騎手にはいち目置くが、ダービーで、世代最強クラス相手に勝ち負けとなるとどうだろうか。

 一方のヒストリカルは、なんとも不気味。3月末に毎日杯を勝って、そこからダービーへ直行というローテーションはやや割引だが、毎日杯の勝ち馬からは、直行ではないにせよ、過去10年で、2004年のキングカメハメハ、2008年のディープスカイの2頭のダービー馬が出ている。

 さらに、きさらぎ賞で勝ったワールドエースから1馬身半差の2着と健闘。どこまで行ってもその差は縮まらないような感があり、それから数カ月経っても逆転までは厳しいかもしれないが、ひとつ記憶に残るのは、きさらぎ賞のあとに行なった、福永祐一騎手のインタビューでの言葉。ワールドエースにもヒストリカルにも乗ったことのある彼は、その際にこう話していた。

「ヒストリカルは前半もたつくけど、後半はいい脚を使う。ダービーに向いているのはこういう馬」

 そして、関西の専門紙トラックマンも、ヒストリカルには警戒していた。
「完成度ではやや見劣るけど、持っている能力はワールドエースと互角。展開がハマれば一発あっておかしくない」

 未知の魅力という点では、この馬が一番だろう。