【競馬】2012年のクラシックロードは、ディープ産駒が席巻する!? (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • 村田利之●写真 photo by Murata Toshiyuki

 そして、ジョワドヴィーヴルがディープインパクト産駒だというのも、注目したいところ。

 ディープインパクトは昨年、初年度産駒から桜花賞馬のマルセリーナと、3歳馬ながら安田記念を勝ったリアルインパクト、2頭のGI馬を輩出した。1年目の種牡馬としては上々の成績と言えるだろう。

 ただ、ディープインパクトには種牡馬としての期待が大きかっただけに、それだけでは物足りないといった、不満の声もある。というのも、GIは2勝ともマイル(1600m)戦。最も強い馬が集まる2000mを越える距離のレースでは、これといった活躍馬が出ていないからだ。このままでは「距離に限界がある種牡馬」という烙印(らくいん)を押されかねない状況にある。

 そういう意味では、血統とレースぶりから、距離がこなせそうなジョワドヴィーヴルが出てきたことは、そうした風評を払拭(ふっしょく)するには願ってもないことだ。

 さらに、牡馬からもアダムスピークという期待馬が登場した。

 昨年の2歳牡馬戦線で最も高く評価されているレースは、12月24日に行なわれたラジオNIKKEI杯(阪神・芝2000m)。ある競馬関係者によれば「GIの朝日杯フューチュリティステークスが手薄なメンバーになったのは、強い馬がみんなラジオNIKKEI杯に行ったから」と言われるほど。そして、このラジオNIKKEI杯を制したのが、ジョワドヴィーヴルと同じディープインパクト産駒で、同じく1戦1勝のキャリアしかなかったアダムスピークだ。

 レース前までは、2戦2勝のトリップや札幌2歳Sを制したグランデッツァなどが「世代最強」と言われていた。そうした強豪馬をわずか2戦目でねじ伏せたのだから、この勝利の価値は高い。

 しかもレース後、世界レベルで強い馬を知る主戦のルメール騎手が「すごい馬」と絶賛。能力があるのは間違いない。東スポ杯を勝ったディープブリランテや朝日杯を勝ったアルフレードも評価されているが、春のクラシックを戦うにはともに距離に不安がありそうで、その点ではアダムスピークが現時点のクラシック最有力候補になったと言える。

 来春のクラシックをめぐる争いは、現時点では牡馬、牝馬ともに最有力馬はディープインパクト産駒。種牡馬には1年目はやや期待はずれでも、2年目に大成功するということはよくある。はたして、ディープインパクトは期待通りの大種牡馬へと駆け上がるのか。今年は、ジョワドヴィーヴルとアダムスピークの、クラシックロードでの戦いぶりから目が離せない。

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