昨年のミスが「フラッシュバックした」。西郷真央が自らに打ち勝ってツアー初優勝を飾る

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 16番で8m、17番で7mのバーディーパットが決まり、単独トップに立った。しかし、18番パー5では2オンを狙ったセカンドがバンカーに飛び込み、ピンとは反対方向となるドロップゾーンに出すことしかできなかった。

 トップに立った瞬間、ピンチを迎えることになったが、4打目を30cmに寄せてパーセーブに成功。西郷はトップをキープしたまま先にホールアウトし、グラブハウスリーダーとして後続を待つことになった。

「昨日までの3日間はずっとパットが入らず、スコアを伸ばせていなかった。(今日は)変に考えたりせずに打って、昨日入らなかった分が今日に回ってきてくれたのかな」

 1年前の2021年の開幕戦でも、西郷は首位で最終日を迎えて優勝を争った。だが、後半に崩れて4位タイに終わるという苦渋を味わった。

「あまり去年と比較しないようにとは思っていたんですけど、17番のセカンドに立った時には、『去年はグリーン奥にこぼしちゃった』ってことがフラッシュバックして......。結果的にカラーではあったんですけど、自分に打ち勝って(去年と)同じミスを繰り返さなかった。

 一年前にもし勝てていたら、調子に乗っていたかもしれない(笑)。この一年、たくさん悔しい思いを経験してきました。結果として、それがこれからにも生かされると思います」

 この日、会場となる琉球GCには大勢のギャラリーが入場していた。ホールアウト後、西郷は母親が握ってくれたというおにぎりを食べながら、後続の2組がホールアウトするのを待っていた。吉報は、ギャラリーからの声で西郷のもとに届いた。

「まさか優勝できるとは、スタートの時には思っていなかった。驚いたのがまず第一。次に、優勝できた安心感がありました。これまで自分が優勝することがあるとするならば、最終組で(ライバルと)競って、競って、競り勝てた展開かなと思っていた。ちょっと違う形ではあったんですけど、逆転で優勝できてよかったと思います」

 西郷は原英莉花や笹生優花らとともに、ジャンボ尾崎に師事する。その教えとは――。

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