渋野日向子「足りないものがたくさん見えた」。フル参戦を果たす米ツアーでの可能性

  • 武川玲子●文 text by Takekawa Reiko
  • photo by Kyodo News

 そもそも米ツアーメンバーの資格は、2019年の全英女子オープンの勝利で得ていた。しかし当時は、海外への意欲がそこまで高くなく、見送った。渋野が言う。

「あそこでメンバー登録していたら、これだけスイングを変えていなかったかもしれない。Qシリーズ(最終予選会)を2週間やって、ボロボロになることも(苦笑)。でも、足りないものがたくさん見えたので(この挑戦には)収穫しかないと思う」

 2020年12月の全米女子オープンでは第3ランドを終えてトップに立ちながら、最終的には4位という結果に終わった。

「昨年は全米女子でもそうでしたけど、右(に出る)ミスが多く、今回もプレッシャーがかかると、最後にグリーンに乗らない。結局、同じミスをやっている」

 最終予選会においても渋野はそう嘆いていたが、そうした経験をしてきたからこそ、スイング改造に踏み切ったはずで、その成果は徐々に出ているのではないか。現に彼女は、まだまだ完璧ではないかもしれないが、「伸びしろはある」と手応えをつかんでいる。

 実際、大規模なスイング改造を図ったことで、今年のシーズン半ばにはやや不安定なショットも見られたが、10月には国内ツアーのスタンレーレディスで優勝。自身を取り戻すことができた。

 渋野が選んだスイング改造は、トップをコンパクトにしたシャロースイング。飛距離は落ちる可能性があるが、安定した球筋が得られるもの。これは、優勝争いなど重圧がかかった場面で大きな力を発揮するだろう。

 初めてフルで挑む米ツアー。当面の目標を訪ねると、渋野は「やっぱり勝ちたいですね」と即答した。

「メジャーだけではなく、出る試合は勝ちにいきたい。私、大口叩いているけど、大丈夫かな(笑)」

 これから飛び込んでいく世界の舞台へ、ワクワクが収まらない渋野の気持ちが伝わってきた。

 波に乗れば、爆発力がある渋野。目指すツアー勝利は、そう遠くないうちに実現できるのではないだろうか。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る