渋野日向子「足りないものがたくさん見えた」。フル参戦を果たす米ツアーでの可能性 (2ページ目)

  • 武川玲子●文 text by Takekawa Reiko
  • photo by Kyodo News

 通常、いわゆる「フルフィールド」と呼ばれる大会は144名から最大156名が参加できるため、渋野は大半の試合に出場できると考えられる。しかし、冬場など日照時間が短い時期は参戦選手が120名ほどに縮小される。

 現に1月20日から開幕する2022年ツアーにおいて、フロリダ州の開幕戦に参加できるのは過去3年のツアー勝者のみ。さらに、第2戦(フロリダ州)、第3戦(未定)も出場選手が120名に限られる。そうなると、渋野の出場は欠場する上位選手の数次第。現状、デビュー戦の予定はなかなか確定しない状況にある。

 ただ一方で、渋野には2019年の全英女子オープン覇者という大きなアドバンテージがある。シンガポールで開催されるHSBC女子世界選手権(3月3日~6日)や、メジャー初戦のザ・シェブロン選手権(3月31日~4月3日/カリフォルニア州)を含めて年間5大会あるメジャー大会の出場権を保持している。これは、同じ最終予選会から勝ち上がってきた選手の中では、圧倒的に有利な条件だ。

 渋野としてはそうした利点を生かして、例年5月に行なわれる優先順位を入れ替えるリシャッフルまでにCMEポイントを少しでも多く獲得して、優先順位を上げておきたいところ。そうすれば、以降のツアーにおけるフル出場へとつなげることができる。

 では、満を持して主戦場を米ツアーに置く渋野はどれぐらい活躍できるだろうか。

 当然ながら、真のルーキーに比べて米ツアー出場経験は豊富。2020年、2021年とメジャー大会や推薦で出場できる試合に参戦し、今年は4月~6月までみっちり3カ月、アメリカ国内で転戦してきた。

 ということは、東海岸のバミューダ芝、西海岸のポアナグリーンなど、アメリカ特有の芝は体験済み。しかもこの春、米ツアーを転戦するなかで、同ツアーの環境を最大限に生かして練習を積んできた。渋野は「1年間を通じて戦うようになったら、またたくさんの苦労がある」と話すが、そうした経験はツアー本格参戦において間違いなく生かされるだろう。

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