シブコ節も冴え、ミラクル連発。強くて「面白いゴルファー」渋野日向子がついに戻ってきた! (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kyodo News

 その後も一進一退の展開が続いたが、ペ・ソンウが17番でバーディーを奪って2打差をつけられる。優勝に向けてまさに窮地に立っていた渋野だったが、18番ロングでティーショットをマン振り。残り200ヤードを切る位置にまで運んで、第2打を7Wで放って2オンに成功した。

「もうイーグルしかないので、スイッチを入れたというか、ギアを外したというか......あっ、ギアを入れたのか。外してどうする(笑)。イーグルパットを決められなかった時は、きっと悔しい顔をしていましたよね。打った瞬間からショートするのがわかった。ほんと悔いの残るパットでした」

 しかし、このホールをボギーとしたペ・ソンウに対し、渋野は悠々とバーディーを奪う。両者は通算9アンダーで並び、勝負の行方は同じ18番で行なわれるプレーオフへ。

「ソンウさんと回ると、すごく自分のリズムがよくなりますし、楽しく回れる。だからこそ、(同じ最終組だった)今日は楽しみにしていましたし、やっぱり楽しかった」

 勝負を決めたのは、プレーオフ1ホール目の2打目だ。残り220ヤードの距離で3Wを振り抜き、グリーン手前のカラーで左に跳ねたボールはピンに寄っていった。ペ・ソンウも2オンに成功したものの、長いイーグルパットは大きくショート。対して、3mにつけていた渋野は表情を変えずに繊細なタッチでボールを転がし、見事カップイン。渋野は右拳を小さく、それでいて力強く突き上げた。

「2打目は本当に紙一重の位置だった。もうっちょっと左に出ていたらバンカーですし、ピンの左につけられたこと自体、もうあれは一生打てないと思います」

 思い返せば、2019年の初優勝時、そして1年11カ月ぶりの優勝となった先日のスタンレーレディスの優勝も、ペ・ソンウと競り合って手にしたものだった。さらに、スタンレーレディスに続いて、今回もプレーオフによる勝利。そこでの強さはつまり、ゴルファーとしての勝負強さだろう。

「基本的にはプレーオフも楽しんでいますね。この間の勝利は、3打目に繊細なショットを求められる戦いだった。今日はガンガン打っていけるパー5だったので、その分、気持ち的には集中して......一球入魂!」

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