プロの眼から見た賞金女王争い。候補者は4人。稲見萌寧か小祝さくらか、それとも... (3ページ目)

  • 古屋雅章●構成 text by Furuya Masaaki
  • photo by Getty Images

 2020年、2021年を合わせて1シーズンとなり、この長丁場のなかで、ここにきて誰もが肉体的な疲労を溜めていると思います。まして小祝さんは、昨年の冒頭に『賞金女王を狙う』と宣言。以来、常に賞金ランクの上位にいて、この女王レースを引っ張ってきていたので、精神的な疲労もかなり溜まっていたことでしょう。

 そうした状況のなか、東京オリンピックの代表争いの渦中で稲見さんに賞金ランクトップの座を明け渡したあたりで、張っていた気持ちがフッと緩み、それが溜まっていた肉体的な疲労へと一気に及んで、ショットの粘りに影響が出たのかもしれません。

 ショットは女子ツアー随一の小祝さん。今後、疲労から回復し、あの粘りのあるショットが戻ってくるのか。それによって、賞金女王レースの行方は大きく左右されると思います」

◆西村優菜
「3週連続優勝をかけて日本女子オープンに臨んだ西村さんでしたが、最終日はパットが入らず、4位に終わりました。しかし、その後の試合でもトップ5入りを果たし、調子のよさは維持されているようです。

 優勝した9月の住友生命Vitalityレディス 東海クラシック(2日間競技に短縮)では、最終日に9アンダーで回る圧巻の勝ち方を披露しました。私はその試合の解説をしていたのですが、1m半くらいのバーディーパットを2つ外していますから、11アンダーを出してもおかしくない、すばらしいゴルフでした。

 あの小さな体でこれだけ爆発的なスコアを出せるのは、セカンドショットがうまいから。ウッドやユーティリティーなどの長いクラブでも、ピンを差すように打ってくるショットは見事です。長いクラブを持つと、飛びを求めてスイングスピードを上げて、強く振りたくなりがちなのですが、彼女はいつも一定のリズムを守って振れています。そこがうまさの秘訣でもあるわけです。

 この一定のリズムを守り続けるということをひとつとってみても、西村さんの忍耐力の強さがうかがえます。上の2人の今後の成績次第では、西村さんにも十分に賞金女王のチャンスはあると思います」

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