プロの眼から見た賞金女王争い。候補者は4人。稲見萌寧か小祝さくらか、それとも... (2ページ目)

  • 古屋雅章●構成 text by Furuya Masaaki
  • photo by Getty Images

 稲見さんのこの安定感は、彼女のゴルフに取り組む考え方や姿勢によって引き出されているのかなと思います。彼女のゴルフを見ていると、技術的にいろんなことをごちゃごちゃやらない、いい意味での"究極のワンパターン"です。

 稲見さん自身が『ひとつのことを極めたほうがラクじゃないですか』と言っているように、彼女は(どのプレーにおいても)自らが自信を持ってできるようになるまで徹底的に技術を身につけ、その自信のあるモノで戦う。これが、安定したゴルフの源だと思います。

 クラブもシーズン中はほぼ変えないそうで、『そこのこだわりはすごいです』とクラブ担当者の方も言っていました。そうして、手に馴染んだクラブを使うことで、安定したショットが打てるわけです。

 そんな稲見さんが賞金女王に最も近いと思われますが、ひとつ気になるのは気持ちの問題です。彼女は『目の前に切迫した何かがないとスイッチが入らないんです』と言っていたことがあります。

 そういう意味では、争うライバルがいたほうが彼女は調子もよくなると思うのですが、最大のライバルとなる小祝さんの調子がここにきてあまりよくありません。これが、賞金女王レースにどういう影響をもたらすのか。最後までわからなくなってきました」

◆小祝さくら
「この熾烈な女王争いで注目されるのは、小祝さんの動向です。というのも、ここにきて小祝さんの強みであるショットの調子があまりよくないからです。

 彼女のスイングはインパクトからフォローで、下半身がツイストするように粘ります。この粘りによって、ショットの安定感が抜群によかったのですが、その下半身の粘りが夏場あたりから弱くなり、インパクトでお腹がやや左上を向く感じになってしまっています。

 その影響はスタッツにも表れています。上位4人のスタッツほぼ均衡しているのですが、唯一フェアウェーキープ率において、西村さんが8位、古江さんが9位、稲見さんが11位であるのに対して、小祝さんだけが61位と数値がよくありません。この小祝さんの変調は、スイングの技術的な乱れというより、疲労からくるものだと私は見ています。

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