渋野日向子が約2年ぶりの優勝で明かした思い。「自分が置いていかれている感があった」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 首位との差は一時、4打差に開いた。しかし、この日はティーショットが安定してフェアウェーをとらえ、結果としてセカンドのミスが少なかったことがスコアアップにつながった。

 16番のチップインバーディーで通算9アンダーまで伸ばし、18番のロングではバーディーを奪えば首位に並ぶことを把握していた。セカンドを5番ユーティリティーで放って、3打目は残り95ヤードの位置につけた。

「バックスピンがかかるピン位置だと思っていたので、ワンチャン、奥につけたら入るんじゃないかというイメージで......」

 勝負の一打――。渋野は、52度で1mに寄せるスーパーショットを見せて楽々とバーディーを奪った。バックナインは5バーディー、2ボギーの「33」で回り、通算10アンダーまで伸ばした。

 同じ18番で争われたプレーオフも、ウェッジが冴え渡った。1ホール目は88ヤードの3打目を54度で10cmに、2ホール目は108ヤードを46度で1.5mにピタリ。1ホール目で木村が脱落し、2ホール目では佐藤とペ・ソンウがバーディーパットを外して勝負あり。

 賞金女王まであと一歩に迫った2019年以来、何より時間を割いてきたアプローチ練習の成果でたぐり寄せた日米通算6勝目だった。

「スイング改造を行なってきた集大成が、18番のすべてのショットで出たんじゃないかと思います」

 勝利から遠ざかった約2年の間に、「もう勝てないのではないか」と自問自答したことは幾度もあった。

「女子ゴルフは世代交代が滅茶苦茶早い。2年前にレギュラーツアーに出始めたのに、もう自分が置いていかれている感があった。そう思いたくはないけど、思ってしまう自分がいた。去年なんて、戦っていて『勝ちたい』と思えたのは、全米女子オープンで優勝のチャンスがあった時ぐらいだった」

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