堀琴音「ゴルフをやめたいと思った時もあった」。どん底からツアー初勝利。次なる夢は「姉妹で優勝争い」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 2014年のプロテスト合格後、「期待の新人」として大きな注目を集めた堀はその評判どおり、ツアー本格参戦1年目の2015年シーズンでシード権を獲得し、翌2016年シーズンには賞金ランキング11位となった。

 しかし、目標のツアー優勝はつかめぬまま、2018年シーズンにはシードを失って、長い低迷に陥ってしまう。その間、レギュラーツアー47戦(2018年~2020年)に挑みながら、予選通過はわずか6試合にとどまった。こうして、堀の存在感が女子ゴルフ界から消えた時期、黄金世代からミレニアム世代、新世紀世代まで、堀よりも若い世代が席巻した。

「(若い選手たちは)簡単そうに優勝しているように、私には見えた。優勝って、そんな簡単じゃないのにな......すごいな、と」

 若い世代の台頭を横目に、ティーグラウンドに立てばドライバーが真っ直ぐ飛ばず、夜も不安で心臓がバクバク鼓動して寝られない。結果、疲れも抜けない。

「このまま私の人生はスッキリしないまま終わるんじゃないかとか、ゴルフをやめたいなとか思った時もあったし、やめられない自分もいた。苦しかった時、(森守洋)コーチや原江里菜さんに支えていただきました。原さんには『練習をしているということは、まだゴルフが好きだということだし、諦められないと思うからがんばろう』と、前向きな言葉をかけていただいて、そのおかげで今ここにいる」

 7歳でゴルフを始めるきっかけとなった3学年上の姉・奈津佳は、これまでにツアー2勝を挙げている。姉の背中を追い続けるゴルフ人生でもある。この日、妹に内緒で、奈津佳は会場を訪れていた。

「プレーオフが終わって、姉がいるのを知ったのでびっくりした。姉は『初優勝を見たい』と言ってくれていたので、その姉がいるということは(私が)初優勝できると思っていてくれたんだな、と。そう思うとうれしいし、やっぱり姉の前で初優勝できてよかった。私も早くもう1勝したいし、いつかは姉妹で優勝争いしてみたい」

 デビュー時に比べて体重が6kg増え、4日間競技にも耐えうる力をつけて、優勝のチャンスに備えていた。それもまた、この長期戦を勝ち抜けた要因だと彼女は振り返った。

 逞しさを増した堀が、あまりに長かったトンネンルを抜け、姉との優勝争いという次の夢を追う。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る