「イップスかもしれない」疑心暗鬼になっていた堀琴音を救った言葉とは?

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

――翌2017年シーズンは当然、もっと上を目指していたと思います。

「この年が一番重要だろうなと思っていました。前年に自己ベストの賞金ランキングを残して、その翌年で崩れたら、自信をなくす可能性もあるだろうから、この年は『絶対にシードを落としちゃいけない』という思いで臨みました。

 もちろん、レギュラーツアーでの初優勝も目指していました。同時に、トップ10フィニッシュの回数を増やしたいなと思ったシーズンでした。最終的にこの年もシードは獲れましたが(賞金ランキング21位)、優勝できない悔しさがあったので、(オフには)もっと練習やトレーニングをしていかないといけないな、と思っていました」

――しかし、2018年シーズンは思わぬ不振に......。今はすごくイキイキとした表情をしていますが、その当時はさすがに人を寄せつけない雰囲気がありました。

「ハハハッ(苦笑)。人の話を聞くことができませんでしたからね。また、20歳そこそこの頃でも、根拠のない自信みたいなものがあって、周りから『気が強く見える』ってよく言われていました。でも、私は意外と慎重派なんですよ。自らの性格を自己分析すると"心配性"です」

――堀選手の同世代では、柏原明日架選手が同様に注目されていました。堀選手が苦しい状況にあるなか、2019年シーズンに2勝を挙げています。その姿をどんなふうに見ていましたか。

「当時の私は試合に出られなかったので、その姿をテレビで見ていました。思ったことは『すごいな』と。(自分の)ゴルフの調子が一番悪かった時期でしたし、本当に『すごいな』という感情しかなかったです。悔しいとか、そういう感情は一切ありませんでした」

――現在、ツアーを席巻している"黄金世代"をはじめ、若い世代の選手たちの活躍を見て、何か感じることはありますか。

「私もがんばらないといけないなって思います。いろんな世代ががんばったほうが、女子ツアー全体が盛り上がると思いますし、その意味でも、私たち世代もがんばらないといけない。ですから、若い選手たちの活躍は、いい刺激になっています」

――シード復帰も見えてきて、メディアへの露出も以前のように増えてきました。堀選手ご自身は、注目されたいタイプですか。

「やっぱりプロですから、見られてなんぼ、という思いはありますよね。アース・モンダミンカップでは、久しぶりにギャラリーがいるなかでプレーして、すごく楽しかったですし。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る