【木村和久連載】「6月の疾風」はゴルフ業界にどんな影響をもたらすか

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 その『週刊パーゴルフ』の休刊が、実は笹生選手らの活躍と微妙に関係がある、といったら「なんで?」と思われることでしょう。それを、今から説明したいと思います。

 週刊のゴルフ雑誌は、昔から火曜日発売と決まっていました。それは、日曜日のトーナメントの結果を掲載して最短で発売できるのが、火曜日だからです。レッスンものや選手インタビュー、漫画やコラム、ギア紹介などは予め作っておいて、試合結果用に残しておいた数ページを日曜日に入稿。それで、何とか火曜日に発売することができました。

 しかし現在は、日曜日の試合結果もテレビやネットニュースを見れば、試合直後から報道され、総評やエピソードなども、その日のうちには記事化されています。つまり、雑誌が発売される火曜日までに、日曜日の試合結果については誰もが幅広く知っていることになります。

 こうして雑誌におけるトーナメント情報はタイムリーなものではなくなり、さらにタイムラグが生じるようになったのが、松山英樹選手が活躍するPGAツアーや、宮里藍選手以降、数多くの選手が活躍してきたLPGAツアーの情報です。

 笹生選手が優勝した全米女子オープンでもわかるように、アメリカのトーナメント最終日は日本時間の月曜日。こうなると、米ツアーの情報は翌日発売の雑誌には掲載できず、1週間後となってしまいます。

 もはや、火曜日発売の必然性はなくなってしまっていたんですね。

笹生優花選手の全米女子オープン優勝、『週刊パーゴルフ』の休刊と、この6月にはゴルフ界で強烈な「疾風」が巻き起こりました。illustration by Hattori Motonobu笹生優花選手の全米女子オープン優勝、『週刊パーゴルフ』の休刊と、この6月にはゴルフ界で強烈な「疾風」が巻き起こりました。illustration by Hattori Motonobuこの記事に関連する写真を見る

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