【木村和久連載】「6月の疾風」はゴルフ業界にどんな影響をもたらすか (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

"吉岡流"は、技術指導に関しては家庭に任せる方針にしています。ゴルフで教えることは、バーディーをいかに取るのか、という戦略です。

 以前、取材した時に聞いたのですが、「淡々とパーばかり取るプレーよりも、バーディーもあるけど、ボギーもあるゴルフのほうが有望だ」とおっしゃっていました。バーディーを取らない限り、アンダーは出ません。時々出るボギーはやっているうちに減るから、気にするな、ということです。

 そんな"吉岡流"のバーディー量産術を学び、父親からスパルタ教育を受け、ロリー・マキロイのスイングを身につけ、ジャンボ軍団に弟子入り。そうして、日本ツアーで優勝を遂げ、今度は海外メジャー制覇。さらに、フィリピンでは切手になるなんて、笹生選手はすでに偉人といった風格が出ていますよね。

 また、笹生選手は通信制の高校に入ったおかげで、時間を有効に使うことができました。このメリットも、相当デカいです。

 実は最近、若手アスリートが通信制の高校に在籍しているケースが増えています。インターネット環境がよくなり、移動中など都合のいい時間にスマホやパソコンで授業を受ければ、誰もが多くの時間を練習に割いて、自らの鍛錬に励むことができるというものです。

 今後、若手アスリートや芸能人の多くは、通信制高校で学ぶことが主流になっていくことでしょう。それが証拠に近年、これまでアスリートや芸能人を養成してきた全日制の高校が通信制コースをわざわざ増設する、という現象が起きていますからね。

 翻(ひるがえ)って、笹生選手の活躍を見守りながら、6月22日、ひっそりと幕を閉じた老舗のゴルフ雑誌があります。ご存知の方も多いかと思いますが、私も寄稿していた『週刊パーゴルフ』です。

 今年で創刊50周年という節目だっただけに、非常に残念でなりません。個人的には1994年3月から、足かけ27年ぐらい執筆させていただきました。まさに『週刊パーゴルフ』の紙面上でゴルフの青春を駆け抜けた感があるので、なおさらです。

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