30cmのパットが入らない...。大里桃子がイップスの不安を抱えながら戴冠 (3ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 今も、1mが必ず入るとは思っていないですし、入れば『入った!』という感じ。以前は、どうやったら入れることができるのか、ばかり考えていた。気持ちの余裕が、好成績につながっていたと思います」

 36ホール競技となったほけんの窓口レディースの優勝の行方は、通算9アンダーで並んだささきしょうことのプレーオフにまでもつれた。18番のパー5で行なわれたプレーオフで、ピンチを迎えたのは2ホール目だ。

 先にささきがタップインバーディーを決め、大里が外せば手が届きかけた優勝がまたもこぼれ落ちる。そんなパッティングだった。

「これまで悩んできたことを、最大限生かしたいなという場面でした。外れることは考えず、『ここに打つ!』という強い気持ちで打てた。今週は、今まで悩んできたパターに救われたホールもたくさんあった。成長を実感できました」

「入ったらラッキー」くらいの余裕で回った本戦と矛盾するように、勝負のかかった最終局面では「決める」と腹をくくって決めきった。

 ゴルファーにとっては致命的なイップスの不安が、少しだけ、解消に向かうきっかけとなった2勝目ではなかったか。

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