渋野日向子のスイング改造は成功するのか。研究の第一人者に聞いた (2ページ目)

  • 吉田洋一郎●取材・文 text by Yoshida Hiroichiro
  • photo by Getty Images

 また、彼はゴルフクラブやゴルフスイング測定機器、ゴルフシューズの開発にも関わっており、欧米のゴルフ界に欠かせない人材となっている。

 マッケンジー教授の研究の中心となる"パッシブトルク"とは、スイング中に自然に発生する力のことで、この力を適切に使うことができると、ダウンスイングでクラブの軌道を自然とプレーン上に戻し、フェースを閉じながらインパクトすることができる。スイングの再現性が高まるだけではなく、ヘッドスピードも高めることができるため、ゴルフティーチングをするうえで欠かせない知識となっている。

 私は、友人のクリス・コモを通じてマッケンジー教授を紹介してもらい、彼の勉強会などに参加して、スイング動作において生じる力とその作用について学んできた。マッケンジー教授のスイング理論は、科学的な根拠に裏付けられており、経験や感覚に基づいた過去の理論とは一線を画するものだった。

 そんなマッケンジー教授は、渋野のスイング改造をどう見ているのだろうか。

 マッケンジー教授の見解を紹介する前に、渋野が全英女子で優勝した2019年と2021年現在のスイングを比較して、どこがどう変わったのかを見てみたい。

 細かな点を挙げれば、アドレスで前傾姿勢が浅くなり、バックスイングでヘッドをインサイド気味に上げているのだが、アマチュアでもはっきりわかるのはトップの形だ。

 以前はトップの手の位置が頭の高さまで上がっていたが、現在は肩のあたりまでしか手が上がっていない。トップがコンパクトになり、クラブが寝たレイドオフになっている。

今年に入ってからスイング改造に取り組んでいる渋野日向子今年に入ってからスイング改造に取り組んでいる渋野日向子

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