【木村和久連載】ゴルフをやる人とやらない人。その間にある認識のズレ (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 ゴルフをやっている人であってもこうですから、「世間の目って、そういうものだな」と改めて痛感させられます。

 余計な摩擦を避けて、賢く生きている人は、今の時期、「ゴルフをバンバンやっている」なんて、人前では決して言いません。ましてや、SNSでそのことを発信するなんて、論外です。炎上を煽っているようなものですから。

 ただ一方で、東京都で新型コロナウイルス感染者が1000人を超えて大騒ぎになった頃、友だちがゴルフをしようとコースを探していたら、いくつかのコースは満員で断られたとか。相変わらずのゴルフ人気。現実はこうなんですね。

 私は現状、ゴルフのラウンドを極力控えていますけどね。

 ゴルフをする時って、たとえ自分が予約をして周りの人を誘ったとしても、家族には「ゴルフに呼ばれちゃって、参ったよ」と言っていることが多いです。ですから、ゴルフをしている人の家族は、一緒にラウンドしている同伴メンバーに対して、快く思っていないフシがあります。「ウチの人をゴルフに誘わないで頂戴ね」と。

 たぶん、私もどこかの家族からは"悪者扱い"になっているのでしょうね。

 そして今、新型コロナウイルスの第3波が襲来。首都圏をはじめ、全国のいくつかの府県や都市で緊急事態宣言が発令されたなか、ゴルフをするお父さんと、まったくゴルフをやらない家族との間で、こんなやり取りがなされているのではないでしょうか。

 お父さんは、おそらくこう言います。「ゴルフはひとりで車を運転して、外で黙々とラウンドをして、スループレーでお風呂にも入らずに帰ってくるから、絶対安全だって」と。

 それに対して、世の奥様はこう反論します。「コロナが感染する、しないの問題じゃないの。これだけ感染者が増えている最中にゴルフへ行く、という行動が不謹慎なわけ。ピントがズレまくりよ。少しはニュースを見て、今置かれている状況を考えて」と。

 こうなると、話は平行線をたどる一方です。結局、お父さんはゴルフを強行。家族に白い目で見られながら、何食わぬ顔で外出していきます。

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