渋野日向子、メジャー制覇へのカギは? 村口史子が見た昨季と2021年の可能性

  • 柳川悠二●構成 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 ツアー本格参戦1年目の2019年、渋野日向子選手は海外メジャーのAIG全英女子オープンを制し、国内でも4勝を挙げて一躍女子ゴルフ界のヒロインとなりました。しかし2020年、国内開幕戦で予選落ちを喫し、ディフェンディングチャンピオンとして臨んだAIG女子オープン(全英女子オープン)でも予選落ち。シーズン序盤は厳しい状況にありました。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、昨年はおよそ3カ月遅れでツアーが開幕。その開幕戦となるアース・モンダミンカップでは、課題となるショートゲームへの不安が見て取れました。

 そもそも渋野選手は、アドレスにおけるハンドダウンが強いタイプ。クラブの入り方を見ると、手首が柔らかく使えていない印象がありました。それゆえ、高い球を打つ際にはどう対応するのか注視していたのですが、やはりロブショットでは、イメージどおりに打てなかったり、まったくカップに寄せられなかったり、といったシーンが見られました。

 そうなると、長い距離のパットが残ってしまって、なかなか決め切れない。そのうち、持ち味となる思い切りのいいパッティングが影を潜め、ショットにも微妙な影響を与えるといった悪循環に陥ってしまったように思います。

 そのため、連覇を目指す全英女子オープンに向けても、ショートゲームが不安材料となりました。優勝した一昨年のコースとは違って、昨年の舞台はリンクスコースでしたから、その不安は一層募りましたね。

 実際、初体験となるその舞台で、渋野選手は苦戦を強いられました。リンクスコース特有の強風にも、かなり苦労させられたと思います。渋野選手自身、経験したことのない舞台設定に面食らっていたのではないでしょうか。

 渋野選手としてみれば、前回覇者としてのプレッシャーなどを感じる余裕もなく、ショートゲームに限らず、すべてがうまくいかない感覚にあったように思います。オフの間、「こんなに練習やトレーニングをやってきたのに......」という思いも膨らんでいたかもしれません。

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