諸見里しのぶが渋野日向子を分析「すぐに成績ばかり求めるのはおかしい」 (3ページ目)

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

――先日、全米女子オープンで渋野日向子選手が4位と優勝を逃しました。2020年の渋野選手をどのように見ていましたか?

 渋野日向子さんは、2020年は"不調"と言われていましたが、米ツアーに参戦してからは色んなアプローチの技を習得しているなと思いました。2020年の前半はスイングを変えたり、パッティングスタイルを変えたりしながら、模索を続けていたと思います。更に強くなるためには必要なことで、今は進化する過程だと思います。私はすぐに成績ばかり求めるのもおかしいと思っています。

――この先の成長を考えれば、焦るべきではないということですね。

 渋野さんは「海外でグランドスラムを達成したい」と言っていますから、そこに挑戦するためには、今どうするべきかを考えているはずです。選手にとっては2~3年の土台作りが非常に重要です。即効性のあるものを取り入れて成績を上げるのか、2~3年後に目標に近づけるようにするのか、それは選手の覚悟次第だと思います。もちろん成績が出ないのは苦しいですが、彼女の米ツアーの戦いぶりを見ていると、本当に楽しそうでした。アプローチの技術を見ていても、吸収力も早い。そこはとても優れていると思います。

――それでも世間もメディアも、渋野選手に勝利を求める傾向がありますよね。諸見里さんも当時は周囲の声に苦労されたと思います。

 強い選手だからこそ、20位以内にいても「スランプだ」とか「なぜ勝てないのか」と言われるんです。でもそれは光栄なことだし、しょうがない部分もあるかもしれません。それこそ"宿命"ですよね。それをわかったうえで、自分の気持ちの切り替え方や集中力を高める方法を考えたほうがいいと思います。2カ月の米ツアー遠征から戻ったあとの日本ツアーで、大王製紙エリエールレディスで5位、JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップで3位タイといい結果を残していましたし、そのあとの全米女子オープンで4位ですから、静かに彼女の成長を見守りたいなという気持ちです。

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