村口史子が見た渋野日向子の変化。宮里藍と共通するズバ抜けた才能

  • 柳川悠二●構成 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 それが、全米女子オープンではどっしりと構えて、ストロークも安定していました。グリーンが大きいうえ、アンジュレーション(起伏)もあって、世界のトッププレーヤーでも短いパットを外していましたが、渋野選手は芯にしっかりとヒットさせて、転がりもよかった。

 ですから、1.5m~2mぐらいの微妙な距離のパットを外すことが少なった。パッティングが好調だったゆえ、他のショットにもいい影響を与えていたように思います。2日目までは、狙ったところにショットが打てて、パーオン率も出場選手中、2位でしたからね。

全米女子オープンではパットが冴えていた渋野日向子全米女子オープンではパットが冴えていた渋野日向子 気持ちの面での変化も、好成績につながった要因だと思います。渋野選手本人も話しているとおり、考え方ひとつで、1ストローク、2ストローク違ってくるということを、およそ2カ月間の海外遠征で学んだ。

 さらにその海外での戦いで、自分より優れた選手が世界にはたくさんいることを知った。そうして、全英女子オープン優勝という肩書を背負うことなく、今一度、チャレンジャーとして挑むことができた。それが、初日、2日目の躍進に結びついたのではないでしょうか。

 ただ、さすがに最終日は苦戦。寒さによって、ボールが思ったほど飛ばないなか、ピン位置が難しくなったことで、セカンドなどでは、高い弾道でピタッと止められる技術が求められました。そこは、きつかったと思います。

 飛距離の出る選手ならば、アイアンで高い球を打ってピンを狙うところを、渋野選手の場合、ユーティリティーを手にせざるを得なかったですからね。そういった点を含めて、自分のゴルフをさせてもらえませんでした。

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