マスターズ制覇で汚名を返上。ダスティン・ジョンソン、パワーと小技の凄み (3ページ目)

  • 武川玲子●文 text by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 ツアー再開3戦目のトラベラーズ選手権で優勝。8月の全米プロこそ2位に終わったが、プレーオフ初戦のザ・ノーザントラストで今季2勝目を飾った。続く2戦目のBMW選手権はジョン・ラームにプレーオフで敗れて2位に終わるも、最終戦のツアー選手権を制覇。初のPGAツアー年間王者に輝いた。

 世界ランキングは8月にトップに返り咲き、2位ラームとの差を広げている。

 DJの強さは、言うまでもなく圧倒的な飛距離が武器。400ヤードのパー4で1オンするほどのパワーを持つ。2020-2021シーズンの平均飛距離は321.4ヤードで、ツアー5位だ。

 ただ最近、彼のプレースタイルに変化が見られている。DJが言う。

「スマートに(賢く)プレーしたいんだ。弱点と言われた小技も、パッティングも磨いてきた」

 現にマスターズでは、そんなプレーぶりが光っていた。

 実は、秋開催のマスターズでは、フェアウェーが柔らかくランが出ないことから、コースが長くなり、開幕前には飛距離の重要性が取り沙汰された。そうして、9月に全米オープンを制したブライソン・デシャンボーが(実際には使用しなかったのだが)48インチドライバーに変えたことが注目を集めるなど、飛距離対策に選手は奔走した。

 DJも練習ラウンドでは47インチドライバーを投入。約10ヤードの飛距離の伸びがあったという。しかし、DJは本戦での使用を回避した。

「長いクラブを振ると、他のクラブのスイングに影響があった。10ヤードの距離は魅力だったが、今は変えないと判断した」

 そして、最終的には普段から使用している45.75インチのドライバーで臨んだDJは、ステディーなゴルフを展開。4打リードで迎えた最終日には、序盤でイム・ソンジェに1打差まで迫られるシーンもあったが、後半13番、15番と2つのパー5ではきっちり刻む手堅いゴルフを見せた。

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