全米OP2位。「変則スイング」でも
注目を浴びたマシュー・ウルフとは?

  • 武川玲子●文 text by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 ラウンドを終えて、「ウイングドフットで行なわれた過去2回の全米オープンだったら、5オーバーで優勝だったのに......」と、ウルフはほんの少し悔しさを覗かせたが、4日間の戦いについては、満足しているようだった。

「負けてしまったけど、このウイングドフットで4日間を通算イーブンパーでプレーできたことは、すばらしいことだと思う。この結果を誇りに思って、前を向いて、次の戦いに向かっていきたい」

 今回、この全米オープンで初めてウルフのプレーを見た人は、きっとその独特な"変則スイング"を見て驚いたことだろう。

 打つ前のルーティーンでは、アドレスに入ってから、一度ターゲット方向に左腰を切って、そちらにお尻を向ける動作を入れる。さらにバックスイングでは、左足を大きくヒールアップ。一度見たら忘れられない、ユニークなものだ。

 しかし、これらは「すべて飛距離に直結する」とウルフ。実際に今回の全米オープンでも、昨シーズンのドライビングディスタンス1位のデシャンボーを、オーバードライブするシーンが何度も見られ、今季の同スタッツでは平均333.6ヤードで5位につけている。

 ウルフは、ロサンゼルス郊外出身の21歳。ジュニアキャンプに参加したことがきっかけで、本格的にゴルフを始めた。

 スイングも個性的だが、性格も周囲に惑わされることなく、"我が道をいく"タイプ。オクラホマ州立大に進学し、2年生だった昨年6月、NCAAの個人タイトルを獲得すると、即座にプロ転向を決意した。

 2018年の全米アマを制した同じオクラホマ州立大出身のビクトル・ホブランド(23歳/ノルウェー)、8月の全米プロ選手権を制したコリン・モリカワ(23歳/アメリカ)らとプロ入り同期で、そろって注目を集めた。その中で、真っ先にツアー優勝を飾ったのは、ウルフだった。

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