「攻めるだけ」の初心に戻って古江彩佳がプロ初V。プラチナ世代の旗手に (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 先に決めることができた時点で、一瞬ではあるものの、「勝利を確信した」というのは、古江の偽らざる本音だろう。

「でも、何が起こるかわからないと思っていた。プレーオフが決まり、これも仕方ないと思いましたね。後半、バーディーチャンスにつけても、決められなかった自分がいたので」

 プレーオフが行なわれたのは、同じ18番ホール。1ホール目で、東はフェアウェーからの2打目を本戦とほぼ同じ距離につけた。

 対する古江も、ラフからだった本戦とは違ってフェアウェーから2打目を打った。ピッチングウエッジで高く放たれボールは、カップの手前数cmでバウンドし、カップの10cm先に止まった。このスーパーショットで"勝負あり"だった。

「プレーオフまでもつれて、2位で終わるというのは悔しい。(プレーオフでは)もう"攻めるだけ"と思っていて、それが2打目のショットに生きた。当たりもよかったし、手応えもあった。完璧なショットができて、グリーンに乗った瞬間は、自分を褒めたいなと思いました」

 プレーオフを含め、3日間の計55ホールでボギーはゼロ。ショートゲームの安定感がその要因だった。

「アプローチがある程度寄ってくれて、3mぐらいのパーパットもあったけれど、しっかり決めることができました」

 安田祐香や吉田優利ら注目を集める「ミレニアム世代」で、初のプロ優勝者となったことについては、多くを語らなかった。

「あまり世代のことを意識することはないです。自分ががんばるだけかな、と。周りのことは考えず、自分自身との戦いがゴルフというスポーツかなと思っています」

 古江が憧れるゴルファーは、宮里藍さん。彼女のように「ジュニアゴルファーから応援される選手になりたい」と話す古江は、プロ転向後初のツアー優勝で自ずと「ミレニアム世代」の旗手となった。

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