笹生優花19歳、プロ2戦目で優勝。どえらい「スター」が誕生した (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 イーグルを決めた16番は、勝負のホールと睨んでいた。

「17番パー3が難しいので、16番でイーグルが取れれば、17番でボギっても大丈夫かなと。スライスラインでしたけど、決められた。自分はけっこう緊張するタイプで、18番まで優勝を意識することはありませんでした」

 2001年6月20日、フィリピンに生まれた笹生は、8歳からゴルフを始めた。弱冠14歳でフィリピンツアーで優勝し、日本の女子ツアーにもアマチュアとして参戦するように。2018年アジア大会では、個人と団体で金メダルを獲得した。

 数多のタイトルを引っ提げて臨んだ昨年の米女子ツアーのQTは通過できなかったものの、続いて受験した国内のプロテストに合格。昨年11月からジャンボ尾崎に弟子入りし、氏の邸宅で同級生の西郷真央らと研鑽を重ねてきた。主にアプローチの重要性を教わってきたという。

「アメリカに行きたいと思ってQTを受けたんですけどダメで......。結果的には、日本でプロというのを経験できてよかった。日本で経験をいっぱい積んで、自分で大丈夫かなと思ったら、アメリカにトライしてみたい気持ちはあります。(将来の夢は)世界一です」

 彼女の大きな目標は来年の東京五輪だ。現時点では、フィリピンのゴルファーでトップの世界ランキングである。

「今後の試合をがんばって、ランキングを落とさないようにしたいです。まだまだ1勝しただけ。持っている力以上の力を出さないと!」

 日本とアメリカの国籍を持っていた女子テニスの大坂なおみと同様に、日本では22歳までに国籍を選択する必要がある(大坂は日本を選択)が、来年に延期された東京五輪を待って、日本国籍を選択するという選択肢もある。

「国籍を選ぶ時が来たら、日本を選ぼうと思っています。日本人としての心を持ってがんばりたい」

 渋野日向子ら「黄金世代」(1998年度生まれ)、安田祐香らの「プラチナ世代」(2000年度生まれ)でもない、2001年生まれの女王が誕生した。

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