2020.06.30

渡邉彩香、大器の復活V。涙の裏には
最大の武器が生んだ苦悩があった

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images/JLPGA提供

「もう勝てないのかな、と思った時期も正直ありました。一番辛かったのは......やっぱり去年と一昨年の、2年間ですかね。家族に八つ当たりしてしまったこともありました。

 チームのみんな、家族、ファンの方々。あと、(周りの)選手もすごく私のことを気にかけてくれて、ちょっとでもいいプレーをすると、『ナイスだったね』と声をかけてくれていた。今日は、そうした人たちのためにがんばって、『優勝を見せてあげたい』という気持ちが一番にありました」

 日曜日の最終日が雨によって順延となり、首位と4打差の通算7アンダー、4位タイでスタートした月曜日のラウンド中は、リーダーボードを一度も見なかった。

「無観客で歓声もないので、あまり優勝を意識するということは、これまでの(3度の)優勝よりは薄かったかもしれません。優勝を意識しすぎても、いい方向にはいかないんじゃないかなと、なんとなく感じたので、自分のプレーに徹することを意識しました」

 18ホールで、5つのバーディー(1ボギー)を奪い、通算11アンダーにまでスコアを伸ばし、同スコアで並んでいた鈴木より、先にホールアウトしていた。鈴木も、最終18番のロングホールでスコアを伸ばせず、勝負は18番で行なわれるプレーオフにもつれた。

 ウイニングパットは、下り4mのスライスラインだった。

「自分が一番、好きなライン。『入れる!』というよりかは、『自分の好きなラインだな』という感じで打ちました。入った瞬間は......うれしいのと、ずっと応援してくださった方に応えられたというホッとした気持ちと......」