渋野日向子が「やっと落ちた」。コーチが語った予選落ち→優勝の裏側 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 初日、渋野が好スタートを切った。賞金ランク2位の申ジエとともに、首位に2打差の2位タイにつけた。

 2日目、渋野はやや停滞したものの、首位に4打差の9位タイ。5位タイの鈴木愛、申ジエを1打差で追った。

 そして3日目。渋野は再び首位との差を2打差とする。2位タイの申ジエとは1打差、鈴木とは(7位タイで)同スコアで並ぶ。賞金女王争いを繰り広げる3人がそろって優勝争いを演じる申し分のない展開となった。

 迎えた最終日。最終組の3組前で一緒に回ることになった渋野と鈴木は、14番を終えて、ともに18アンダー。トップタイで並んだ。

 続く15番。渋野がバーディーを奪ったのに対し、鈴木は短いバーディーパットを外してパー。19アンダーとした渋野が、ここで1打リードを奪い、単独首位に立った。

 喜びも束の間、16番パー3で渋野はティーショットを右に外してしまう。それでも、ボールは難しいガードバンカーまでもう一転がり、というところで辛うじて止まって、何とかパーを拾った。すると、鈴木が続く17番(パー5)のティーショットを池に入れてしまう。

 一方、渋野のティーショットはきっちりフェアウェーをとらえた。ただ、大粒の雨も降り出し、風もアゲインストがキツくなっていた。定石からすれば、セカンドは刻んで、3打目勝負といった状況だ。そもそも、鈴木に対して1打リードしている。なおかつ、その目前のライバルがトラブルに見舞われているとなれば、なおさらである。

 ところが、渋野は第2打を刻まなかった。5番ウッドで果敢に2オンを狙った。ボールは左へ。行ってはならない池の方向に飛んでいった。が、水面は揺れなかった。ギリギリセーフ。渋野は、鈴木よりツキがあった。

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