果敢にツーオン狙い。松山英樹の勝負勘と圧倒的技術の結晶を見た (3ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kyodo News

 松山にとって、同い年のライバル・石川遼は常に先をゆく存在だった。杉並学院高校の1年だった2007年、石川はマンシングウェアオープンで優勝。松山にとって同級生の快挙はあまりに現実離れしたことで、呆然とするしかなかった。

 さらに高校3年となった石川は、2009年に国内ツアーの賞金王に輝く。一方の松山は高知・明徳義塾高校から東北福祉大に進学し、地道にアマチュアの世界で技術を磨いた。対照的なゴルフ道を歩んできた両者が、ついにプロの舞台で交錯したのが2011年シーズンだった。

 松山がアマチュア優勝を遂げた日、石川は17番パー3でエース(ホールインワン)を決めていた。もちろん、ホールインワンなど狙ってできる芸当ではない。だが、松山との優勝争いこそかなわずとも、同い年のゴルファーとして、経験でも実績でも上回ってきた石川がライバルに一矢報いようとしたその結果のように映った。

 そして、翌12年の大会では石川が2年ぶりとなる通算10勝目を飾る。表彰式では"敗れた"前年王者の松山が、所在なさげにローアマチュアの表彰を受けていた。

 2013年の国内ツアー開幕を前に、いよいよ松山はプロ転向を決意する。当時、松山は二度の三井住友VISA太平洋マスターズをこう振り返っていた。

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