復活にかける香妻琴乃「私はまだ、
プロとしてやり尽くしていない」

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 ケガに泣いて、思うような結果は残せなかった。それでも、現在の状況を前向きにとらえていた香妻。その点は救いでもあり、今後に向けて、明るい材料でもある。

 振り返れば、2019年シーズンは、この年を最後に現役生活にピリオドを打つと決めたトッププレーヤーが数多くいた。シード選手として長年活躍してきた、一ノ瀬優希、大江香織、佐伯三貴、諸見里しのぶらがそうだ。

 活きのいい若手が台頭するなか、歳を重ねるごとに飛距離が落ちたり、体の故障が多くなったりして、試合でなかなか結果を残せなくなり、予選落ちが多くなれば、プロとしてゴルフを続ける意欲を失ってもおかしくない。また、ツアーで戦っていくうえでは、相当な準備が必要不可欠であり、それだけの練習を重ね、ハードなトレーニングをこなしていくだけの、心と体が伴っているか、という問題もある。

 だが、香妻は、まだまだツアーで戦うことを諦めていないし、戦う意欲も失っていない。オフのトレーニングや日々の練習にも積極的な姿勢を示し、プロとして戦っていく覚悟がある。

「正直、成績が出ないと悩むこともあります。でも、『やめたいな』って思ったことはないんですよ」

 香妻の活力が失せないのは、「プロゴルファーとして、まだやり残したことがたくさんあるから」だと言う。

「今でも、もっとゴルフがうまくなるために、『あれもやりたい。これもやりたい』っていう思いが強いんです。いろいろな人からアドバイスをたくさんもらうのですが、そういうのも『どんどん試してみたい』って気持ちになっています。ゴルフの技術の向上をはじめ、練習方法、トレーニング、(体の)ケアなど、すべてがよくなるなら、いろんなことをもっともっと試していきたい。

 自分には、乗り越えなければいけない壁や宿題(課題)がとてもたくさんあります。プロゴルファーとして、まだピークの状態に持っていけていない感じがあるので、とにかく(自分が)納得するまでやり切りたいです」

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