渋野日向子と大谷翔平との共通点。メンタルトレーナー「自然体を強く感じる」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・構成 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 ただし、だからと言って、今年も賞金女王争いをしたら、あるいは、今年もまた全英で優勝できたら、そこで初めて一流だとか、結果で評価することはしません。あくまでも心のあり方として、今シーズンは東京オリンピックもありますし、これだけ注目を集める状況のなかで1年間、「今」「ここ」「自分」を安定的に保ち続けられれば、かなり一流に近いと思います。

 メディアは、オリンピックで金メダルを目指しますと言わせたいんでしょうが、メンタル的には、それは最悪です(笑)。その期待こそが、選手をノンフローにしているんですよ。

 技術は安定しているんだから、「今」「ここ」「自分」を自ら徹底的に意識して、自然体でフローな状態で目の前のことをだけをやれば、結果は自然と出るんです。結果は、期待によって作られるわけではありません。その人のパフォーマンス、何をどんな心でやったか、でしか作られないのです。

 渋野さんには、「今」「ここ」「自分」に立ち返る力がある。もちろん今はまだ、無意識に、だとは思います。

辻 秀一(つじ・しゅういち):スポーツドクター
1961年、東京都生まれ。北海道大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部にて内科学を学んだあと、スポーツ医学を専門とする。そして、慶大スポーツ医学研究センターを経て、人と社会のQOL向上を目指して、(株)エミネクロスを設立。子どもから大学のチーム、さらにはプロ、オリンピック選手まで、あらゆるジャンルのスポーツ選手の「心」と「体」のコンディショニングを、スポーツドクターとしてサポートし日々奔走している。『スラムダンク勝利学』(集英社インターナショナル)をはじめ、著書も多数。
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