渋野日向子が持つ「心」の凄さは?『スラムダンク勝利学』の著者が分析 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・構成 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

 渋野さんは、心が大事だということを、両親やコーチを通じて、小さい頃から間接的にでも教わってきたのかもしれません。だから、心を大事にできる環境が無意識に彼女を育て、心を大事にするためのアドバイスを素直に聞く力も持てるようになった。それが彼女のよさのような気がします。

 心が大事だという感覚は、成育歴によるところが大きいんです。子どもの頃から、心を大事にした体験・体感・教育を受けているかどうか、ですね。渋野さんもおそらく、両親によるいい環境のなかで、ひたすら「勝て、勝て」だけの結果エントリー型ではなく、人と比べられることもなく、「ただ感情を表に出して、心を乱していてはダメなのよ」という、心の大事さみたいなものを教わってきた背景があるのは確かだと思います。

 ですから、あとはこの先、感覚的に備わっているそのメンタリティを保てるかどうか。僕は今後もウォッチしていきたいと思っています。

(つづく)

辻 秀一(つじ・しゅういち):スポーツドクター
1961年、東京都生まれ。北海道大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部にて内科学を学んだあと、スポーツ医学を専門とする。そして、慶大スポーツ医学研究センターを経て、人と社会のQOL向上を目指して、(株)エミネクロスを設立。子どもから大学のチーム、さらにはプロ、オリンピック選手まで、あらゆるジャンルのスポーツ選手の「心」と「体」のコンディショニングを、スポーツドクターとしてサポートし日々奔走している。『スラムダンク勝利学』(集英社インターナショナル)をはじめ、著書も多数。
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