松山英樹があの涙からの不振脱出。メジャー制覇&五輪メダルを夢見る (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●解説 analaysis by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 おかげで、松山はおよそ2年もの間、優勝から遠ざかっている。それでも、2019年の後半になって、復調気配がうかがえた。9月に開幕したPGAツアー2019-2020シーズンにおいて、10月のザ・CJカップで3位タイ、続くZOZOチャンピオンシップで2位と好成績を残した。メンタル的にも成長し、彼が模索し続けてきた姿が、ようやく見え始めてきたのではないかと思う。

2020年、松山英樹がついにメジャー制覇を果たすか!?2020年、松山英樹がついにメジャー制覇を果たすか!? もちろん、技術的な進化も見て取れる。スイング中、以前のように頭を残さず、その場でスムーズに首が回転するようなフォームに改良。細かい部分で進化している。

 そんな松山の復調具合を見ていると、今季はここ2年とは違う好成績を残せそうなムードを感じる。4月のマスターズ、5月の全米プロ、6月の全米オープン、7月の全英オープンという、4大メジャーでの活躍も期待される。

 なかでも、最もチャンスがありそうなのは、マスターズだ。その理由のひとつとして、現在、男子プロの世界には絶対的な存在がいない点が挙げられる。昨年は、タイガー・ウッズが復活優勝を飾ったものの、とにかく飛ばして、短いクラブでピンを狙って......という往年のタイガーの攻め方ではなかった。非常に柔軟な作戦でコースを攻略していた。

 要するに、マスターズを制するには、飛距離やパワーが必須ではない、ということ。ポイントは、タイガーのような柔軟な攻め方を取り入れられるかどうか。それができれば、松山にもチャンスは巡ってくるはずだ。

 松山には、そうやってメジャー大会でも好成績を残して、勢いをつけた状態で東京五輪に臨んでほしいと思う。なぜなら、彼にはメダルを手にするチャンスが十分にあるからだ。

 先にも触れたように、男子プロには今、群を抜いた存在がいない。アメリカの選手が強いのは間違いないが、メダル候補がそこに集中しているわけではない。欧州をはじめ、世界中にトッププレーヤーがひしめいていて、群雄割拠の状態にある。そういった状況のなか、思わぬダークホースが台頭してもおかしくない。

 ゆえに当然、松山のチャンスは膨らむ。

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