2020.01.03

「規格外のスター」渋野日向子。
東京五輪でメダル獲得が持つ大きな意義

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Kyodo News

 周囲の状況が短期間に激変した事態にどう対処していいかわからず、ニコニコと笑顔を振りまくしか手段がない。その笑顔は「謎」の表現方法にも見える。

 今の彼女に、余計なカリスマ性は一切ない。スター選手でありながら、あまりにも気さく。擦れていないところが、ゴルフファン以外からも支持を受けるいちばんの理由だろう。

 日本人の心に、これほどピタリとハマるムードを持ったスポーツ選手も珍しい。とにかく、凄まじい人気だ。

 トーナメントは大盛況。渋野の組は、常に大ギャラリーに囲まれている。その人垣が渋野とともに大移動する絵は、土日の原宿の竹下通りを見るかのような壮観さだ。

 今年の夏、霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)を舞台にして行なわれる東京五輪のゴルフ競技。もし渋野が世界ランキング15位以内を維持し、出場権を獲得したならば、会場はさぞや大賑わいとなるだろう。

 通常のトーナメントで入場者数に限りがあるという話は聞いたことがない。東京五輪はどうなのか。何万人入場できるのか定かではないが、彼女が大ギャラリーに囲まれながらプレーすることだけは間違いない。

大観衆がグリーンを取り囲むなか、渋野日向子が金メダルを獲得する瞬間を見てみたい大観衆がグリーンを取り囲むなか、渋野日向子が金メダルを獲得する瞬間を見てみたい  ゴルフは、1900年パリ大会、1904年セントルイス大会で実施されたが、その後は、前回のリオデジャネイロ五輪で復活するまで、五輪競技として採用されずにいた。

 五輪取材の経験が過去に5度ある筆者も、もちろん現地で観戦した経験はない。そこがどんな現場なのか、前回のリオ五輪もテレビ観戦しただけなので、通常のトーナメントと何が違うのか想像することができない。メダルを懸けた争いとはどんなものなのか、イメージはまるで湧かないが、それだけに高揚感に襲われる。

 ブラジルのリオとは違い、日本のゴルフ熱は高い。ファンは多くいる。何より、渋野という訴求力の高い稀代のスター選手がいる。メダル争いに十分絡みそうな実力がある。

 東京五輪で、渋野はどんな絵が描くのか。関心は高まるばかりだ。