「自分は下手だ」と思っている
渋野日向子は今季、まだまだ強くなる

  • 水野光博●構成 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Getty Images

昨季、一躍女子ゴルフ界のスターとなり、国民的なヒロインとなった渋野日向子。2020年、彼女はさらなる活躍が見込めるのか。そして、注目の東京五輪でのメダル獲得の可能性はあるのか。ゴルフジャーナリストの三田村昌鳳氏が考察する――。

2020年シーズン、さらなる活躍が期待される渋野日向子2020年シーズン、さらなる活躍が期待される渋野日向子 2019年シーズン、目覚ましい活躍を見せた渋野日向子ですが、もちろん今後に向けての課題はあります。

 まずは、アプローチ。これは、青木翔コーチのみならず、岡本綾子プロがテレビ解説などでも「彼女はアプローチが下手」と公言しています。

 ただ、アプローチの問題も、そのほかの課題も、渋野なら乗り越えられるのではないでしょうか。それは、彼女自身が「自分は下手だ」と思っているからです。

 普通、試合に勝つと、結果オーライで勝った事実だけを重視して、ラウンド中にどれだけラッキーがあったか、どれだけミスショットがあったか、なかなか顧みません。大きな試合に勝ったとなったら、なおさらです。

 しかし、渋野は「まだまだ足りない」「自分は下手だ」としっかり認識しています。だから、勝った試合からでも、反省点を探しています。そうやって、自らが下手であると自覚していることが、モチベーションを保つ、ひとつの要因になっていると思います。

 しかも、彼女は"自分が下手"ということを、マイナス発想で考えていません。「今より下はない」「上がっていくしかない」「(練習を)やればやるだけうまくなれるんだ」と思えるプラス思考を持っているので、落ち込むことが少ないのです。 

 それでも、経験を積み、知識や技術を身につけて成長するにつれ、思い切りのよさがなくなってしまわないか、という懸念はあります。

 今の渋野のよさは、あまり物事を複雑に考えない思い切りのよさにあります。パッティングでショートすることが極めて少ないことからもわかるように、彼女はまさに"Never up never in(届かなければ入らない)"という格言を実践し、その思い切りのよさが好結果につながっています。

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