2019.12.16

諸見里しのぶの新たなチャレンジ
「引退という言葉は使いたくない」

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 無論、長きにわたって第一線で活躍してきたトップアスリートが、そうした決断を下すには、相当な勇気と覚悟が必要だったはずだ。華やかなステージから降りるということは、注目度はもちろん、収入も激減する。今後のことを思えば、不安も大きかったに違いない。

「正直、私もすごく悩みました。『今の自分に何ができるんだろう』とかなり迷いましたし、(ツアーから退いて)ほかにやりたいことがあるのか、と言えば、それもないし......。

 そこで、出した答えが『(私にも)ゴルフ界に貢献できる何かがある』ということ。ゴルフに携わってきたからには、(私だからできる)ゴルフ界のためにできることを探していきたい。そして、何かを見つけたら、それに全力を尽くしたいという気持ちが強いです。それは、自分自身も成長できるものとしてとらえています」

 真剣な眼差しでそう語った諸見里。自らが下したこの決断には、強い意思が感じられた。

「一緒にツアーで戦ってきた上田桃子さんとかががんばっている姿を見ると、私も『もっとがんばらなきゃ』って思うんです。これからの人生のほうが長いわけですから」

 彼女なりに、これからやっていきたいこと、いろいろと思い描いていることはたくさんあるようだ。そして、自らが「ゴルフ界のためにできること」がいくつか見つかり、すでに携わることが決まっている仕事もあるという。

「今後の仕事でひとつ決まっているのは、コースセッティング。そのメンバーに入れてもらいました。来年のステップ・アップ・ツアーのコースから、先輩につきながら、勉強させていただきます。

 自分の人生にプラスになることは、どんどん挑戦していきたい。これからの数年間は、まずは人生の勉強の期間にしたいと思っています」

 知名度の高い選手ゆえ、テレビ解説やラウンドリポーターの仕事もあるだろう。トーナメント会場で、そんな諸見里の姿を見られるのであれば、それもまた楽しみである。