石川遼が「どん底」から今季復活。世界の頂点へ試行錯誤していること (3ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kyodo News

 今年はケガから始まったシーズンで、全試合完璧な体調だったか、というと違う。やはり、無傷で山を登り切ることはできないのだろうな、と思う。それでも、(エレベストに登る=世界一になるために)必要なものを調べたり、身につけたり――(今の自分は)そういうことをしている状態にあると思います」

 現在の石川が、とりわけ試行錯誤を繰り返しているのは、ドライバーとアイアンの精度の向上だ。

「ドライバーとアイアンの兼ね合いというか......。世界では、ドライバーがいいだけでも、アイアンがいいだけでも、勝てない。自分の場合は、ドライバーがよくて、(同時に)アイアンもいい状態が4日間続く、ということが最低限必要なこと。そこに向けて、レベルアップしていかないと。理想のスイングは"生きる伝説"であるタイガー(・ウッズ)。一番強かった2000年〜2002年頃のスイングです」

 幼少期より抱く「海外メジャー制覇」の夢は、2019年の締めくくりには口にしなかった。その代わりに、具体的な目標として「東京五輪出場」を掲げた。

 そのためには、世界ランキングにおいて、今季賞金王に輝き、同ランク32位(12月9日現在。以下同)の今平周吾を、少なくとも逆転しなければならない。日本シリーズJTカップ制覇によって、石川の世界ランキングは今平に次ぐ日本人3番手の82位となった。

「(今回の優勝で)首の皮一枚つながった。1月のSMBCシンガポールオープンから(代表が決定する)6月まで、日本のツアーであれ、どこのツアーであれ、出場する試合すべてで優勝を目指します」

 石川が復活を遂げたシーズンは終わった。再び世界へと飛躍すべく2020年シーズンは、すぐに始まる。

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