【木村和久連載】メジャー制覇へ。日本人選手の効果的な海外戦略とは (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 もちろん、アメリカのコースにおいても、マスターズが開催されるオーガスタ・ナショナルGCは、ゴルフの技能のすべてを試されるコースで、なかなか難しいものがあります。

 ほか、全米オープンや全米プロの開催コースしかりです。芝の薄いフェアウェーから、200ヤード以上の距離を、アイアンで高い球を打ち、グリーンに止められる技術を持っていないと攻略できません。

 その技術を持っている日本人は、松山選手のみ、というのが現状です。

 男子の場合、本来は松山選手クラスが5人いて、ようやく日本勢の誰かがメジャーを勝てる――そんな感じだと思います。つまり、日本ツアー中心にローテーションを組んで、スポット参戦で海外メジャーを狙うなんて、相当なラッキーに恵まれない限り、たぶん無理です。

 ここは、女子のスポット参戦に淡い期待を抱いていくしかないでしょう。

(4)スポット参戦における障害
 男子は、日本ツアーを主戦場としていても、海外メジャーやPGAツアーの一部で得た賞金は、日本ツアーの賞金額に加算されます。そうなると、海外メジャーなどで活躍し、結果を残すことができれば、日本の賞金王、あるいはシード権を得ることも可能になり、日米を往復しながらのスポット参戦にも積極的になれます。

 翻(ひるがえ)って、女子はメジャーであっても海外ツアーの賞金は、日本ツアーの賞金額に加算されません。ゆえに、渋野選手は全英女子オープンで優勝し、7200万円ほどの賞金を獲得しましたが、日本ツアーの賞金額には一切反映されていません。

 これには、さまざまな憶測があります。海外の高額賞金を国内ツアーに加算すると、国内の賞金女王レースの面白さが半減する、という意味もあるようです。

 けどね、時代はグローバルです。この弊害は、早く改善できないものでしょうか。もし全英女子オープンで獲得した賞金の半額、およそ3600万円を日本ツアーの賞金額に加算していたら、渋野選手が賞金女王になっていましたからね。

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