渋野日向子は最後も「笑けた」。やっぱりシブコが令和最強のヒロイン

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ(11月28日~12月1日/宮崎県)の開催コースである宮崎カントリークラブは、13番パー5と17番パー4のグリーンが隣接するレイアウトだ。

 最終日もバックナインに入り、賞金女王を争う別組のふたりの運命もまた、ここで交錯した。

 賞金女王レースのトップに立つ鈴木愛は最終日、首位と6打差の通算1アンダー、12位タイでスタートしたが、彼女がまず17番で、この日6つ目のバーディーを奪った。

 大きな歓声が沸き起こると、やがて隣の13番グリーンではさらに大きな、地鳴りのような歓声が起きる。

 鈴木を追う賞金ランキング3位の渋野日向子が、12番(パー3)に続くバーディーを決め、首位に立っていたペ・ソンウに1打差に迫ったのだ。

「優勝しか狙っていない」と話してきた鈴木が、大きく順位を上げている。そのため、渋野が逆転で賞金女王に輝くためには、この時点で優勝することが絶対条件となっていた。

「その時点で(トップの)スコアは見ていなかったですね。正直、一日を通して、優勝がちらついた場面はまったくなかったです。ほんと、まったくなかった。10番のバーディパットが入らなかった時点で、『あ、今日は終わったな』と思いました」

 渋野にとっては、苦しい一日だった。ティーショットがフェアウェーをとらえ切れず、持ち味であるショットも前半から左右にぶれ、セカンドがピンにからまない。

「なかなかチャンスにつけられず、『つけた』と思えば、(パットが)入らない......」

 初日は4パットのボギーを叩き、3日目はもう少しでチップインイーグルを決めそうだった9番パー5では、第2打が4日間で初めてグリーン手前のガードバンカーに飛び込み、その第3打が高いアゴに当たって跳ね返る、という大ピンチに直面した。それでも、4打目をピンまで約2mに寄せて、なんとかパーをセーブし、難を切り抜けた。

 耐えた前半はバーディーがひとつもなかったが、ボギーもなかった。チャンスホールの11番パー5でもパーがやっと。ようやくスコアが動いたのが、12番パー3だった。9番アイアンで放った第1打が、ベタッとピン横30cmの距離につく。

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